所有権の移転はいつ?
きゃのんさん
(No.1)
下記の問題⓵・➁について、解説の内容が異なる理由について質問です。
◎質問(1)
締結時に移転するのでしょうか?それとも即時取得の制度がないのでしょうか?
【不動産取引には即時取得※の制度はありません】
【原則として所有権は売買契約締結時に移転します】
◎質問(2)
【不動産取引には即時取得※の制度はありません】というのは
→不動産の他人物売買の時は。ということでしょうか?
【原則として所有権は売買契約締結時に移転します】
→通常の不動産売買契約は。ということでしょうか?
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宅建試験過去問題 平成29年試験 問2 肢2.3 引用
問題⓵▼
“Aを売主、Bを買主としてCの所有する乙建物の売買契約が締結された場合、BがAの無権利について善意無過失であれば、AB間で売買契約が成立した時点で、Bは乙建物の所有権を取得する。”
解説⓵▼
誤り。乙建物の所有者はAではなくCです。【不動産取引には即時取得※の制度はありません】から、無権利者であるAと売買契約をしたBが乙建物の所有権を取得することはできません。ここでBの善意無過失は関係ありません。本肢のケースは他人物売買となり、売主AにはCから乙建物を取得して買主Bに引き渡す義務が生じます。他人物売買では売主が真の所有者から売買目的物の所有権を取得した際に、当然に買主に所有権が移転します。よって、もし売主AがCから所有権の譲渡を受けたときは、買主Bはそのときに所有権を取得することになります(最判昭40.11.19)。
※動産の場合には即時取得という制度があり、取引行為によって善意無過失に動産の占有を開始した場合には所有権を取得することができます。しかし、不動産取引には適用がありません。
問題➁▼
Aを売主、Bを買主として、丙土地の売買契約が締結され、代金の完済までは丙土地の所有権は移転しないとの特約が付された場合であっても、当該売買契約締結の時点で丙土地の所有権はBに移転する。
解説➁▼
誤り。【原則として所有権は売買契約締結時に移転します】(民法176条)。ただし、判例では所有権の移転が将来なされる特約がある場合にはそれに従うとしています(最判昭33.6.20)。本肢では「代金の完済までは丙土地の所有権は移転しない」特約があるため、所有権の移転は代金の完済時となります。
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どなたか、ご回答頂けますと幸いでございます。
何卒宜しくお願い致します。
2021.09.14 15:59
いしださん
(No.2)
質問①について
まず、「即時取得」という制度がなぜ存在するのかについて考えてみます。
不動産の場合は登記の制度がありますから、その不動産が売主の物なのかどうか、判別がつきます。
ですので、買主は登記を確認することで安心して契約を結ぶことができますから、保護する必要がありません。
一方、動産には、誰の持ち物なのかを明示する方法がありません。お店で買ったものが、「実はお店のものではなかったので、やっぱり返してください」となってしまえば、安心してお買い物ができませんよね。
そこで生まれたのが、即時取得という制度なのです。
以上をまとめますと、「即時取得が主張できるのは動産のときだけ」となります。
不動産であれば、それがどんな契約であれ、即時取得は主張できません。
質問②について
物権変動は、当事者の意思表示によってのみ、効力が生じます(民法176条)。
言い換えれば、「買います」という意思表示に対し「売ります」という意思表示をし、それが合致したとき、つまり契約が成立した時に所有権が移るわけです。
これは、動産であっても不動産であっても同じです。
更に言えば、契約だけでなく、所得時効や相続についても、同じです。
ただし、特約がある場合は、この限りではありません。
車のローン等を組んだとき、その所有権はディーラーが持っていたりしますよね。
ですから、“原則は”、契約の成立時に所有権が移りますが、特約でルールを変えることが可能だということです。
以上をまとめますと、「どんなものでも、所有権は契約成立時に移るが、特約があればその限りではない」となります。
長くなりましたが、お力添えになれば。
2021.09.14 17:25
きゃのんさん
(No.3)
大変ご丁寧なご回答ありがとうございます!
動産・不動産での所有権移転時期の違いや、
即時取得の制度、所有権移転時期については特約が優先される
上記内容ついては理解できました!
読解力がなく申し訳ないのですが
不動産は、契約ベースで所有権が移転するということで(特約がなければ)
問題⓵と問題➁がなぜ異なる回答なのかについて
下記の解釈で問題ないかご教示いただけますと大変ありがたいです><
・問題⓵では無権利者との”無効”な契約の為所有権は移転できない
・問題➁では本人間の”有効”な契約の為所有権は移転される
ご迷惑をおかけしますが、何卒宜しくお願い致します!
2021.09.14 18:05
いしださん
(No.4)
①と②の違いは、ご理解通り「他人物売買かどうか」です。
①では他人物なので、所有者の意思表示がないため、所有権が移転しません。
ただ、一点きゃのん様に誤解している点がありまして、
①の他人物売買も、「有効」な契約であるということです。
ですので、当然無効にはなりません。
他に何かあればお気軽にどうぞ。
2021.09.15 07:13
きゃのんさん
(No.5)
とんでもございません!
ご返答いただけているだけで、とても心強く感謝しかございません!
こちらこそ、読解力がなくて申し訳ございません。
すみません!!!他人物売買は有効でしたね!!!
何かと混合してました・・・。
危なかったです!ご指摘ありがとうございます。
下記内容の解釈で問題なさそうでしょうか・・・?
原則、所有権の契約締結後に移転する。
所有権移転時期の特約がある場合や
他人物売買の本人が意思表示をしていない場合はこの限りでない。
何卒宜しくお願い致します。
2021.09.15 09:43
いしださん
(No.6)
他人物売買が無効だと勘違いしてしまうのは、恐らく「自ら売主制限」の中の、「自己所有でない物件の契約締結制限」かなと思われます。
もっとも、こちらも禁止されているだけで、当然に無効になるわけではありませんので注意が必要です。
2021.09.15 10:00
きゃのんさん
(No.7)
ご返信ありがとうございます!!
また、混合しているものまで
教えてくださりありがとうございます!
完全におっしゃる通りでした( ; ; )
今回、かなりスッキリ理解できたので
この件で引っかかる事はないかと思います!
本当に助かりました!!
ご丁寧にありがとうございました!!
2021.09.15 14:48
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