賃料を支払っている場合の時効取得について
じょさん
(No.1)
どちらも20年以上、賃料を支払っていますが選択肢1では時効取得できず、選択肢4ではできるとあります。
なぜ選択肢4では、「賃借人として占有(他主占有)」する意思があると判断されないのでしょうか。
宅地と農地でルールが違うと理解すれば良いでしょうか。
<選択肢1>
“Bが父から甲土地についての賃借権を相続により承継して賃料を払い続けている場合であっても、相続から20年間甲土地を占有したときは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。”
誤り。時効によって所有権を取得するには「所有の意思」を持っている必要があります(民法162条1項)。
賃料を払い続けているBには「所有の意思」ではなく「賃借人として占有(他主占有)」する意思があると判断されるため、Bは甲土地の所有権を時効取得できません。
<選択肢4>
“甲土地が農地である場合、BがAと甲土地につき賃貸借契約を締結して20年以上にわたって賃料を支払って継続的に耕作していても、農地法の許可がなければ、Bは、時効によって甲土地の賃借権を取得することはできない。”
誤り。土地の賃借権も条件を満たせば時効取得することができます(民法163条最判昭43.10.8)。
農地に賃借権等の使用収益を目的とする権利を設定するときには、農地法の許可が必要となります。許可を受けないでした場合は効力を生じません。しかし、時効取得の場合には、農地法の許可がなくても賃借権を取得することができます。継続的に耕作をしてきた事実がある場合には、その者に時効取得を認めても、不耕作目的の農地の取得等の権利の移転又は設定を規制するという農地法による規制の趣旨に反しないからというのがその理由です
2021.08.19 07:46
まるさん
(No.2)
肢4は「賃借権」を取得できるかどうか
をそれぞれ問うています。
肢1は解説にある通り、賃料を払い続けているので「所有する意思を持っている」とはいえません。
「賃料を20年払い続けていればその土地は賃借人の物になる」なんてことはないです。
肢4は農地法の許可をもらわずに賃貸借している場合でも(許可なしならば賃貸借契約は無効で賃借権もないです)平穏かつ公然に20年、賃料を払い続け耕作していれば賃借権を時効取得できます。
2021.08.19 08:46
じょさん
(No.3)
丁寧な説明ありがとうござます!
完全に理解できました。
2021.08.19 10:02
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