宅建試験過去問題 平成14年試験 問39

問39

宅地建物取引業者Aに対する監督処分に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. Aが、宅地建物取引業の業務に関して、建築基準法の規定に違反して罰金に処せられた場合、これをもって業務停止処分を受けることはない。
  2. Aは、自ら貸主となり、借主との間でオフィスビルの一室の賃貸借契約を締結した業務において、賃貸借契約書は当該借主に対して交付したが、重要事項の説明を行わなかった場合、これをもって指示処分を受けることはない。
  3. 都道府県知事は、Aに対し、業務停止処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならないが、指示処分をするときは、聴聞を行う必要はない。
  4. Aの取締役が宅地建物取引業の業務に関するものではないが、脱税し、所得税法に違反したとして罰金刑に処せられた場合、Aは指示処分を受けることがある。

正解 2

問題難易度
肢19.0%
肢258.3%
肢312.8%
肢419.9%

解説

  1. 誤り。宅地建物取引業の業務に関して他の法令に違反した場合、それを事由として業務停止処分を受けることがあります(宅建業法65条2項1号の2宅建業法65条1項3号)。
    前項第三号又は第四号に該当するとき。
    業務に関し他の法令(履行確保法及びこれに基づく命令を除く。)に違反し、宅地建物取引業者として不適当であると認められるとき。
  2. [正しい]。自ら貸主となる場合は宅地建物取引業に該当しないため、重要事項説明を行う必要はありません。また37条書面の交付も義務ではありません。
  3. 誤り。指示、業務停止、免許取消しいずれの場合でも、都道府県知事は監督処分をしようとする前に聴聞を行わなければなりません(宅建業法69条1項)。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、第六十五条又は第六十八条の規定による処分をしようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
    乙県知事は、宅地建物取引業者B(乙県知事免許)に対して指示処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならず、聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。R1-29-イ
    国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者に対して必要な指示をしようとするときは、行政手続法に規定する弁明の機会を付与しなければならない。H24-44-1
    国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者に対し、業務の停止を命じ、又は必要な指示をしようとするときは聴聞を行わなければならない。H23-44-2
    甲県知事は、宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に対して指示処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならず、その期日における審理は、公開により行わなければならない。H21-45-2
  4. 誤り。宅地建物取引業に指示処分を行えるのは、宅建業法及び履行確保法に違反した場合と次のいずれかに該当するときとなります(宅建業法65条1項)。
    • 業務に関し取引の関係者に損害を与えたとき又は損害を与えるおそれが大であるとき
    • 業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき又は取引の公正を害するおそれが大であるとき。
    • 業務に関し他の法令に違反し、宅地建物取引業者として不適当であると認められるとき。
    • 宅地建物取引士が、指示処分又は事務禁止処分を受けた場合において、宅地建物取引業者の責めに帰すべき理由があるとき。
    役員が業務と無関係の理由で他の法令に違反した場合は、指示処分の対象外となります。
    Aが、事務所の公衆の見やすい場所に国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなかった場合、Aは甲県知事から指示処分を受けることはあるが、罰則の適用を受けることはない。R3⑫-28-ウ
    宅地建物取引士が都道府県知事から指示処分を受けた場合において、宅地建物取引業者(国土交通大臣免許)の責めに帰すべき理由があるときは、国土交通大臣は、当該宅地建物取引業者に対して指示処分をすることができる。H30-32-1
    宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、マンション管理業に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとして、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき、国土交通大臣から業務の停止を命じられた。この場合、Aは、甲県知事から法に基づく指示処分を受けることがある。H29-29-1
    宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法に違反した場合に限り、監督処分の対象となる。H23-44-3
    Aの専任の宅地建物取引士が事務禁止処分を受けた場合において、Aの責めに帰すべき理由があるときは、甲県知事は、Aに対して指示処分をすることができる。H20-45-1
    Aが、乙県内で行う建物の売買に関し、取引の関係者に損害を与えるおそれが大であるときは、Aは、甲県知事から指示処分を受けることはあるが、乙県知事から指示処分を受けることはない。H19-36-2
    Aの取締役が宅地建物取引業の業務に関し、建築基準法の規定に違反したとして罰金刑に処せられた場合、甲県知事は、Aに対して必要な指示をすることができる。H18-45-4
    Aの宅地建物取引士が、乙県の区域内におけるAの業務を行う場合に、宅地建物取引士としての事務に関し著しく不当な行為をして乙県知事から指示の処分を受けたとき、乙県知事は、Aに対しても指示の処分をすることがある。H12-43-3
したがって正しい記述は[2]です。