監督処分・罰則(全19問中1問目)

No.1

次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
令和6年試験 問31
  1. 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が法第65条第1項の規定による指示に従わない場合、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができ、業務の停止の処分に違反した場合、免許を取り消さなければならない。
  2. 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者の事務所の所在地を確知できないときは、その事実を公告し、その公告の日から2週間を経過しても当該宅地建物取引業者から申出がないときは、免許を取り消すことができる。
  3. 国土交通大臣又は都道府県知事は、法第66条の規定による免許の取消しの処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならないが、当該聴聞は、公開することが相当と認められる場合を除き、公開されない。
  4. 国土交通大臣又は都道府県知事は、法第66条の規定による免許の取消しの処分をしたときはその旨を公告しなければならないが、法第65条第2項の規定による業務の停止の処分をしたときはその旨の公告はしなくともよい。

正解 1

問題難易度
肢158.6%
肢220.0%
肢39.5%
肢411.9%

解説

  1. [正しい]。免許権者は、指示処分をした宅地建物取引業者が指示に従わない場合、業務停止処分を命じることができます。業務停止処分に違反した宅地建物取引業者に対しては、免許取消し処分をしなければなりません(宅建業法65条2項3号宅建業法66条1項9号)。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

    三 前項又は次項の規定による指示に従わないとき。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。

    九 前条第二項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき又は同条第二項若しくは第四項の規定による業務の停止の処分に違反したとき。
    Aは、自らが売主となった分譲マンションの売買において、法第35条に規定する重要事項の説明を行わなかった。この場合、Aは、甲県知事から業務停止を命じられることがある。H28-26-1
    Aは、甲県知事から指示処分を受けたが、その指示処分に従わなかった。この場合、甲県知事は、Aに対し、1年を超える期間を定めて、業務停止を命ずることができる。H28-26-3
    Aが宅地建物取引業法の規定に違反したとして甲県知事から指示処分を受け、その指示に従わなかった場合、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。H20-45-3
    Aが、宅地建物取引業者Dと共同で媒介を行う場合、35条書面にAが調査して記入した内容に誤りがあったときは、Aだけでなく、Dも業務停止処分を受けることがある。H19-40-4
    Aが、乙県の区域内の業務に関し乙県知事から指示を受け、その指示に従わなかった場合でも、甲県知事は、Aに対し業務停止の処分をすることはできない。H18-45-2
    宅地建物取引士Gは、取引士証の有効期間内に更新をせず、有効期間の満了日から2週間後に取引士証の交付を受けた。その2週間の間にGに重要事項説明を行わせた宅地建物取引業者Hは業務停止処分を受けることがある。H16-34-4
  2. 誤り。2週間ではありません。宅地建物取引業者の所在を確知できない場合、免許権者はその事実を公告し、その公告の日から30日以内にその宅地建物取引業者から申し出がない場合は、免許を取り消すことができます(宅建業法67条1項)。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者の事務所の所在地を確知できないとき、又はその免許を受けた宅地建物取引業者の所在(法人である場合においては、その役員の所在をいう。)を確知できないときは、官報又は当該都道府県の公報でその事実を公告し、その公告の日から三十日を経過しても当該宅地建物取引業者から申出がないときは、当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことができる。
    国土交通大臣は、宅地建物取引業者B(乙県知事免許)の事務所の所在地を確知できない場合、その旨を官報及び乙県の公報で公告し、その公告の日から30日を経過してもBから申出がないときは、Bの免許を取り消すことができる。H29-29-2
    宅地建物取引業者C(甲県知事免許)の事務所の所在地を確知できないため、甲県知事は確知できない旨を公告した。この場合、その公告の日から30日以内にCから申出がなければ、甲県知事は法第67条第1項により免許を取り消すことができる。H26-44-ウ
    甲県知事は、Aの事務所の所在地を確知できないときは、直ちにAの免許を取り消すことができる。H20-45-2
  3. 誤り。聴聞は公開で行われます。聴聞(ちょうもん)とは、行政が不利益処分を行おうとするときに、処分される側に意見を述べる機会を与える手続きです。聴聞は非公開が原則で、行政庁が相当と認めるときに限り公開となります(行政手続法20条6項)が、宅地建物取引業者・宅地建物取引士に対する監督処分に係る聴聞の審理は、全て公開により行うことになっています(宅建業法69条2項宅建業法16条の15第5項)。
    第十六条の十五第三項から第五項までの規定は、第六十五条、第六十六条、第六十七条の二第一項若しくは第二項、第六十八条又は前条の規定による処分に係る聴聞について準用する。
    第三項の聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
  4. 誤り。業務停止処分も公告の対象です。国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者に業務停止処分又は免許取消処分を行った場合、その旨を公告しなければなりません(宅建業法70条1項)。
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    国土交通大臣又は都道府県知事は、第六十五条第二項若しくは第四項、第六十六条又は第六十七条の二第一項若しくは第二項の規定による処分をしたときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
    都道府県知事は、宅地建物取引士に対して登録消除処分を行ったときは、適切な方法で公告しなければならない。R5-41-4
    甲県知事は、宅地建物取引業者A社(国土交通大臣免許)の甲県の区域内における業務に関し、A社に対して指示処分をした場合、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に通知するとともに、甲県の公報により公告しなければならない。H24-44-2
    甲県知事は、宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)に対し、甲県の区域内における業務に関し取引の関係者に損害を与えたことを理由として指示処分をしたときは、その旨を甲県の公報により公告しなければならない。H22-44-4
    甲県知事は、Aに対して指示処分をした場合には、甲県の公報により、その旨を公告しなければならない。H20-45-4
したがって正しい記述は[1]です。