印紙税(全13問中11問目)

No.11

印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成16年試験 問28
  1. 後日、本契約書を作成することを文書上で明らかにした、土地を1億円で譲渡することを証した仮契約書には、印紙税は課されない。
  2. 宅地建物取引業を営むA社が、「A社は、売主Bの代理人として、土地代金5,000万円を受領した」旨を記載した領収書を作成した場合、当該領収書の納税義務者はA社である。
  3. 建物の賃貸借契約に際して貸主であるC社が作成した、「敷金として30万円を受領した。当該敷金は賃借人が退去する際に全額返還する」旨を明らかにした敷金の領収書には、印紙税は課されない。
  4. 「甲土地を5,000万円、乙土地を4,000万円、丙建物を3,000万円で譲渡する」旨を記載した契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、9,000万円である。

正解 2

問題難易度
肢110.6%
肢269.2%
肢314.9%
肢45.3%

解説

  1. 誤り。予約契約書や仮契約書も契約内容を証する書面として課税対象となります。複数回にわたって契約書が作成される場合にも、それぞれの契約書に印紙税が課税されます(印紙税法通達58条)。
    後日、正式文書を作成することとなる場合において、一時的に作成する仮文書であっても、当該文書が課税事項を証明する目的で作成するものであるときは、課税文書に該当する。
    本契約書を後日作成することを文書上で明らかにした、土地を8,000万円で譲渡することを証した仮契約書には、印紙税は課されない。H23-23-2
  2. [正しい]。印紙税は当該課税される文書の作成者が納付義務者となります。本肢の領収書は、代理人A社名義の文書ですので作成者はA社になります。よって、当該領収書に課される印紙税の納税義務者はA社です。
    ただし、委託を受けた作成する文書でも、委託者(本問で言えば売主B)のみの表示に留まる場合は委託者が納税義務者となるので注意が必要です(印紙税法通達43条)。
    委任に基づく代理人が、当該委任事務の処理に当たり、代理人名義で作成する課税文書については、当該文書に委任者の名義が表示されているものであっても、当該代理人を作成者とする。
    2 代理人が作成する課税文書であっても、委任者名のみを表示する文書については、当該委任者を作成者とする。
    土地の売却の代理を行ったA社が「A社は、売主Bの代理人として、土地代金5,000万円を受領した」旨を記載した領収書を作成した場合、当該領収書は、売主Bを納税義務者として印紙税が課される。H21-24-3
  3. 誤り。敷金の領収書は「売上代金以外の金銭の受取書」となり、記載金額が5万円以上であれば印紙税が課されます(印紙税法通達別表第一14-3)。
    家屋等の賃貸借に当たり、家主等が受け取る敷金について作成する預り証は、第14号文書(金銭の寄託に関する契約書)としないで、第17号文書(金銭の受取書)として取り扱う。
    建物の賃貸借契約に際して敷金を受け取り、「敷金として20万円を領収し、当該敷金は賃借人が退去する際に全額返還する」旨を記載した敷金の領収証を作成した場合、印紙税は課税されない。H20-27-1
    建物の賃貸借契約に際して敷金を受け取り、敷金の領収書(記載金額100万円)を作成した場合、その領収書に「賃借人が退去する際に返還する」旨が記載されているときでも、印紙税は課税される。H12-27-1
  4. 誤り。1つの文書に同じ区分である記載金額が複数存在する場合、その合計額が文書の記載金額となります(印紙税法通達24条(1))。本肢の場合、3件とも「不動産の譲渡に関する事項」ですので、記載金額は「5,000万円+4,000万円+3,000万円=1億2000万円」です。
    一の文書に、課税物件表の同一の号の課税事項の記載金額が2以上ある場合 当該記載金額の合計額
    一の契約書に甲土地の譲渡契約(譲渡金額6,000万円)と、乙建物の譲渡契約(譲渡金額3,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、6,000万円である。R4-23-2
    「甲土地を6,000万円、乙建物を3,500万円、丙建物を1,500万円で譲渡する」旨を記載した契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、6,000万円である。H23-23-3
したがって正しい記述は[2]です。