建築基準法(全55問中9問目)

No.9

建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
令和3年10月試験 問17
  1. 居室の内装の仕上げには、ホルムアルデヒドを発散させる建築材料を使用することが認められていない。
  2. 4階建ての共同住宅の敷地内には、避難階に設けた屋外への出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が2m以上の通路を設けなければならない。
  3. 防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が防火構造であるものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。
  4. 建築主は、3階建ての木造の共同住宅を新築する場合において、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該共同住宅を使用することができる。

正解 4

問題難易度
肢122.7%
肢25.9%
肢327.5%
肢443.9%

解説

  1. 誤り。建築基準法では、石綿(アスベスト)を添加した建築材料の原則使用禁止を定めるとともに、シックハウス対策として、居室を有する建築物ではクロルピリホスおよびホルムアルデヒドを添加した建築材料の使用を規制しています(建築基準法28条の2第3号)。
    クロルピリホスを添加した建築材料については一切使用できませんが、ホルムアルデヒドについては第1種から第4種までに区分して、区分ごとに使用制限を行っています。第1種は使用禁止、第2種と第3種は居室の種類や換気の頻度によって使用面積制限を受けますが使用可能で、ホルムアルデヒドをほとんど発散しないと認定を受けた第4種(F☆☆☆☆)の材料は制限なく使用することができます(建築基準法令20条の8第4項)。
    居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。
    石綿等をあらかじめ添加した建築材料は、石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除き、使用してはならない。R5-17-4
    居室を有する建築物の建築に際し、飛散又は発散のおそれがある石綿を添加した建築材料を使用するときは、その居室内における衛生上の支障がないようにするため、当該建築物の換気設備を政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。H19-21-2
    居室を有する建築物は、住宅等の特定の用途に供する場合に限って、その居室内においてホルムアルデヒド及びクロルピリホスの発散による衛生上の支障がないよう、建築材料及び換気設備について一定の技術的基準に適合するものとしなければならない。H16-21-4
  2. 誤り。2m以上ではありません。一定の特殊建築物や階数が3以上の建築物等の敷地内には、避難経路を確保するため、建築物の出入口や屋外避難階段から道や公園等の空地に通ずる1.5m(3階建て以下かつ延べ面積200㎡未満の小規模建築物では90cm)以上の通路を設けなければなりません(建築基準法令128条)。
    4階建ての共同住宅に設けるべき通路の幅は1.5mなので、「2m」とする本肢は誤りです。
    敷地内には、第百二十三条第二項の屋外に設ける避難階段及び第百二十五条第一項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が一・五メートル(階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル未満の建築物の敷地内にあつては、九十センチメートル)以上の通路を設けなければならない。
  3. 誤り。防火構造ではありません。防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができます(建築基準法63条)。外壁は隣地境界線から50cm以上離すという民法の規定に対する特則です。
    防火構造は、外壁と軒裏に燃えにくい材料を使って周囲で発生した火災による延焼を防ぐ構造、耐火構造は、建物自体が燃えにくくなっていて外部の火災に対してだけでなく内部で発生する火災に対しても非損傷性・遮熱性・遮炎性を有する構造です。隣地境界線に接するためには、「外部から火災の影響を受けない」「外部に火災の影響を与えない」という両面の性能が必要であるため、耐火構造が求められるというわけです。
    防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。
    防火地域にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。H28-18-1
    防火地域にある建築物は、外壁が耐火構造であっても、その外壁を隣地境界線に接して設けることはできない。H23-18-4
    当該建築物は、外壁を隣地境界線に接して設けることができる。H15-20-4
  4. [正しい]。建築確認を受けるべき建築物のうち下表の建築物については、原則として検査済証の交付を受けた後でなければ、使用することができません。ただし、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときには、検査済証の交付を受ける前でも仮に使用することができます(建築基準法7条の6第1項)。
    17.png/image-size:415×157
    第六条第一項第一号から第三号までの建築物を新築する場合又はこれらの建築物(共同住宅以外の住宅及び居室を有しない建築物を除く。)の増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替の工事で、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラーその他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置、非常用の昇降機若しくは防火区画で政令で定めるものに関する工事(政令で定める軽易な工事を除く。以下この項、第十八条第二十四項及び第九十条の三において「避難施設等に関する工事」という。)を含むものをする場合においては、当該建築物の建築主は、第七条第五項の検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物又は当該避難施設等に関する工事に係る建築物若しくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。
    一 特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたとき。
    鉄筋コンクリート造であって、階数が2の住宅を新築する場合において、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用することができる。H29-18-1
したがって正しい記述は[4]です。