都市計画法(全62問中59問目)

No.59

都市計画法の開発許可に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成13年試験 問19
  1. 開発許可申請書には、予定建築物の用途のほか、その構造、設備及び予定建築価額を記載しなければならない。
  2. 開発許可の申請は、自己が所有している土地についてのみ行うことができる。
  3. 開発許可を受けた開発区域内の土地においては、開発工事完了の公告があるまでの間は、原則として、建築物を建築することができない。
  4. 開発許可処分については、開発審査会の裁決を経た後でなければ、直接その取消しの訴えを提起することができない。

正解 3

問題難易度
肢125.0%
肢25.0%
肢370.0%
肢40.0%

解説

  1. 誤り。開発許可の申請書には、予定建築物の用途を記載する必要がありますが、その構造、設備及び予定建築価額まで記載する必要はありません。
    開発許可の申請書に記載すべき情報は、①開発区域の位置・③区域・規模、③予定建築物等の用途、④設計、⑤工事施行者、⑥工事の予定開始日・予定終了日、⑦資金計画等です(都市計画法30条1項都市計画法規則15条)。
    前条第一項又は第二項の許可(以下「開発許可」という。)を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
    一 開発区域(開発区域を工区に分けたときは、開発区域及び工区)の位置、区域及び規模
    二 開発区域内において予定される建築物又は特定工作物(以下「予定建築物等」という。)の用途
    三 開発行為に関する設計(以下この節において「設計」という。)
    四 工事施行者(開発行為に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事を施行する者をいう。以下同じ。)
    五 その他国土交通省令で定める事項
    法第三十条第一項第五号の国土交通省令で定める事項は、次に掲げるもの(中略)とする。
    一 工事の着手予定年月日及び工事の完了予定年月日
    二 主として自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為、主として住宅以外の建築物又は特定工作物で自己の業務の用に供するものの建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為、その他の開発行為の別
    三 市街化調整区域内において行う開発行為にあつては、当該開発行為が該当する法第三十四条の号及びその理由
    四 資金計画
    開発許可を受けようとする者は、開発行為に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事を施行する者を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。R3⑫-16-1
    開発許可を受けようとする者が都道府県知事に提出する申請書には、開発区域内において予定される建築物の用途を記載しなければならない。H18-20-2
  2. 誤り。他人が所有する土地であっても開発許可の申請を行うことは可能です。自己所有に限られません。開発行為に関する工事の実施の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていれば、開発許可の基準を満たします(都市計画法33条1項14号)。
    自己の業務の用に供する施設の建築の用に供する目的で行う開発行為にあっては、開発区域内に土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に規定する土砂災害警戒区域内の土地を含んではならない。R4-16-3
    都市計画法第33条に関する開発許可の基準のうち、排水施設の構造及び能力についての基準は、主として自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為に対しては適用されない。H23-17-3
    予定建築物等の敷地に接する道路の幅員についての基準H17-20-1
    開発区域に設置しなければならない公園、緑地又は広場についての基準H17-20-2
    排水施設の構造及び能力についての基準H17-20-3
    開発許可の申請者の資力及び信用についての基準H17-20-4
    給水施設が、開発区域について想定される需要に支障を来さないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていないときは、開発許可を受けることができない。H12-19-1
    申請者に当該開発行為を行うために必要な資力及び信用がないときは、開発許可を受けることができない。H12-19-2
    開発区域内に建築基準法第39条第1項に規定する災害危険区域が含まれているときは、開発許可を受けることができない。H12-19-4
  3. [正しい]。開発許可を受けた開発区域内の土地においては、工事完了の公告があるまでの間は、①工事用の仮設建築物等を建築するとき、②都道府県知事が承認したとき、③開発行為に反対する者が建設物等を建築するときを除いて、建築物等の建築や特定工作物の建設をすることが禁止されます(都市計画法37条)。
    開発許可を受けた開発区域内の土地においては、前条第三項の公告があるまでの間は、建築物を建築し、又は特定工作物を建設してはならない。ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。
    開発行為に同意していない土地の所有者は、当該開発行為に関する工事完了の公告前に、当該開発許可を受けた開発区域内において、その権利の行使として自己の土地に建築物を建築することができる。R3⑫-16-4
    開発許可を受けた開発区域内において、当該区域内の土地の所有権を有し、かつ、都市計画法第33条第1項第14号に規定する同意をしていない者は、開発行為に関する工事が完了した旨の公告があるまでの間は、その権利の行使として建築物を新築することができる。H22-17-3
    開発許可を受けた開発区域内の土地であっても、当該許可に係る開発行為に同意していない土地の所有者は、その権利の行使として建築物を建築することができる。H20-19-1
    開発許可を受けた開発区域内の土地においては、開発行為に関する工事完了の公告があるまでの間であっても、都道府県知事の承認を受けて、工事用の仮設建築物を建築することができる。H18-20-4
    開発許可を受けた開発区域内において、開発行為に関する工事が完了した旨の公告があるまでの間は、開発許可を受けた者は、工事用の仮設建築物を建築するとき、その他都道府県知事が支障がないと認めたとき以外は、建築物を建築してはならない。H15-19-1
  4. 誤り。開発許可の処分について開発審査会に審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することは妨げられません。
    以前の都市計画法では、行政事件訴訟法の規定に基づき取消しの訴えを提起する際には、開発審査会に審査請求を行う裁決を経る「審査請求前置主義」が採用されていました。しかし、H28の行政不服審査法の改正に伴う法改正によりこの規定(旧52条)が削除されました。
したがって正しい記述は[3]です。