盛土規制法(全24問中20問目)

No.20

宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。
平成19年試験 問23
  1. 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内においても、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるもの(以下この問において「災害」という。)の発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域を造成宅地防災区域に指定することができる。
  2. 都道府県知事は、造成宅地防災区域について、当該区域の指定の事由がなくなったと認めるときは、その指定を解除することができる。
  3. 造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者等は、災害が生じないよう、その造成宅地について擁壁の設置等の措置を講ずるよう努めなければならない。
  4. 都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、災害の防止のため必要があると認める場合は、当該造成宅地の所有者等に対し、擁壁の設置等の措置をとることを勧告することができる。

正解 1

問題難易度
肢171.1%
肢29.3%
肢312.6%
肢47.0%

解説

  1. [誤り]。造成宅地防災区域は、宅地造成等工事規制区域に定めることはできません。造成宅地防災区域は、過去に造成された一団の宅地について災害防止措置を求める制度ですが、宅地造成工事等規制区域内では同等の規制があることから、二重規制を回避するため重ねて指定することが禁止されています(盛土規制法45条1項)。
    都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、宅地造成又は特定盛土等(宅地において行うものに限る。第四十七条第二項において同じ。)に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地(これに附帯する道路その他の土地を含み、宅地造成等工事規制区域内の土地を除く。)の区域であつて政令で定める基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。
    都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成等工事規制区域内で、宅地造成又は特定盛土等(宅地において行うものに限る。)に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって、一定の基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。R5-19-1
    都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成等工事規制区域内で、宅地造成又は宅地において行う特定盛土等に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって一定の基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。R3⑩-19-4
    都道府県知事は、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域又は集落の区域であって、宅地造成等に関する工事について規制を行う必要があるものを、造成宅地防災区域として指定することができる。R1-19-4
    都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成等工事規制区域内で、宅地造成又は宅地において行う特定盛土等に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって一定の基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。H24-20-4
  2. 正しい。造成宅地防災区域について、擁壁の設置等により指定の事由(災害発生のおそれ)がなくなった場合、都道府県知事は、その造成宅地防災区域の指定を解除するものとされています(盛土規制法45条2項)。
    都道府県知事は、擁壁等の設置又は改造その他前項の災害の防止のため必要な措置を講ずることにより、造成宅地防災区域の全部又は一部について同項の指定の事由がなくなつたと認めるときは、当該造成宅地防災区域の全部又は一部について同項の指定を解除するものとする。
    都道府県知事は、造成宅地防災区域について、擁壁等の設置又は改造その他宅地造成又は特定盛土等に伴う災害の防止のため必要な措置を講ずることにより当該区域の指定の事由がなくなったと認めるときは、その指定を解除するものとする。H23-20-1
  3. 正しい。造成宅地防災区域内の土地の所有者等は、宅地造成や特定盛土等に伴う災害の防止のため、擁壁の設置・改造等を講ずる努力義務があります(保全義務)。所有者等には管理者と占有者が含まれます(盛土規制法46条1項)。
    造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者、管理者又は占有者は、前条第一項の災害が生じないよう、その造成宅地について擁壁等の設置又は改造その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。
  4. 正しい。都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、宅地造成等に伴う災害の防止のため必要がある場合は、その土地の所有者・管理者・占有者に対し、擁壁の設置や改造等を勧告することができます(盛土規制法46条2項)。また、危険な状態が放置されているときは、擁壁等の設置・改造、土地の改良工事を命ずることができます。これらは宅地造成等工事規制区域内の土地と同等の規制です。
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    都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、前条第一項の災害の防止のため必要があると認める場合においては、その造成宅地の所有者、管理者又は占有者に対し、擁壁等の設置又は改造その他同項の災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。
    都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、宅地造成又は宅地において行う特定盛土等に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの防止のため必要があると認める場合は、その造成宅地の所有者のみならず、管理者や占有者に対しても、擁壁等の設置等の措置をとることを勧告することができる。H20-22-4
したがって誤っている記述は[1]です。