その他の契約(全17問中4問目)
No.4
個人として事業を営むAが死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。なお、いずれの契約も令和6年7月1日付けで締結されたものとする。- AがBとの間でB所有建物の清掃に関する準委任契約を締結していた場合、Aの相続人は、Bとの間で特段の合意をしなくても、当該準委任契約に基づく清掃業務を行う義務を負う。
- AがA所有の建物について賃借人Cとの間で賃貸借契約を締結している期間中にAが死亡した場合、Aの相続人は、Cに賃貸借契約を継続するか否かを相当の期間を定めて催告し、期間内に返答がなければ賃貸借契約をAの死亡を理由に解除することができる。
- AがA所有の土地について買主Dとの間で売買契約を締結し、当該土地の引渡しと残代金決済の前にAが死亡した場合、当該売買契約は原始的に履行が不能となって無効となる。
- AがE所有の建物について貸主Eとの間で使用貸借契約を締結していた場合、Aの相続人は、Eとの間で特段の合意をしなくても、当該使用貸借契約の借主の地位を相続して当該建物を使用することができる。
令和3年10月試験 問3
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
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正解 4
問題難易度
肢17.6%
肢221.8%
肢325.6%
肢445.0%
肢221.8%
肢325.6%
肢445.0%
分野
科目:1 - 権利関係細目:10 - その他の契約
解説
- 誤り。準委任契約は、法律行為ではない事務を委託する契約で委任契約の一種です。委任契約は、委任者または受任者の死亡により終了するため、Aの死亡によりBとの間の準委任契約は終了することとなります(民法656条民法653条)。したがって、別段の定めがない限り、Aの相続人が清掃業務を行う義務を負うことはありません。
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。 - 誤り。賃貸借契約の当事者が死亡しても賃貸借契約は終了せず、その権利義務は相続人に承継されます(民法896条)。貸主の死亡を理由に賃貸借契約を解除することができるという規定はありません。
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
Bが期日までに売買代金を支払わない場合であっても、本件契約の解除権はAの一身に専属した権利であるため、Cは本件契約を解除することはできない。(R6-4-2)AがA所有の土地について買主Dとの間で売買契約を締結し、当該土地の引渡しと残代金決済の前にAが死亡した場合、当該売買契約は原始的に履行が不能となって無効となる。(R3⑩-3-ウ)Bが死亡しても賃貸借契約は終了せず賃借権はBの相続人に相続されるのに対し、Cが死亡すると使用貸借契約は終了するので使用借権はCの相続人に相続されない。(H21-12-4)Aの死亡によりCが単独相続し、甲地について相続を原因とするAからCへの所有権移転登記がなされた場合、Bは、自らへの登記をしていないので、甲地の所有権をCに対抗できない。(H17-8-1) - 誤り。売買契約の当事者が死亡しても売買契約は終了せず、その権利義務は相続人に承継されます(民法896条)。したがって、Aの相続人は土地を引き渡す義務を負います。また原始的不能な契約が無効になるという点も民法に照らして不適切です。Bが期日までに売買代金を支払わない場合であっても、本件契約の解除権はAの一身に専属した権利であるため、Cは本件契約を解除することはできない。(R6-4-2)AがA所有の建物について賃借人Cとの間で賃貸借契約を締結している期間中にAが死亡した場合、Aの相続人は、Cに賃貸借契約を継続するか否かを相当の期間を定めて催告し、期間内に返答がなければ賃貸借契約をAの死亡を理由に解除することができる。(R3⑩-3-イ)Bが死亡しても賃貸借契約は終了せず賃借権はBの相続人に相続されるのに対し、Cが死亡すると使用貸借契約は終了するので使用借権はCの相続人に相続されない。(H21-12-4)Aの死亡によりCが単独相続し、甲地について相続を原因とするAからCへの所有権移転登記がなされた場合、Bは、自らへの登記をしていないので、甲地の所有権をCに対抗できない。(H17-8-1)
- 誤り。使用貸借契約は借主の死亡によって終了します(民法597条3項)。したがって、Aの相続人が借主の地位を相続することはありません。
使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
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