債権総則(全37問中2問目)
No.2
承諾に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。令和6年試験 問9
- 第三者が債務者との間で、債務者の債務につき免責的債務引受契約をする場合、債権者の承諾は不要である。
- 第三者が債務者との間で、債務者の債務につき併存的債務引受契約をした場合、債権者が第三者に承諾をした時点で、その効力が生ずる。
- 第三者が債権者との間で、債務者の債務につき併存的債務引受契約をした場合、債務者が第三者に承諾をした時点で、その効力が生ずる。
- 賃借人が賃貸借契約の目的物を第三者に転貸する場合、賃貸人の承諾は不要である。
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正解 2
問題難易度
肢111.3%
肢256.1%
肢321.3%
肢411.3%
肢256.1%
肢321.3%
肢411.3%
分野
科目:1 - 権利関係細目:7 - 債権総則
解説
- 誤り。債権者の承諾が必要です。免責的債務引受は、債務が新たな引受人に移転し、元の債務者は債務を免除される契約です。免責的債務引受契約は、債権者・債務者・引受人の三者間で行うほか、下図のような2つの二者間契約によっても行うことができます(民法472条)。
第三者(引受人)と債務者との間で免責的債務引受契約をする場合、債権者が引受人に承諾することで効力が生じます。債権者としては債務者が変わることによるリスクがあるためです。免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる。
2 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。
3 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。 - [正しい]。併存的債務引受は、引受人が元の債務者と並ぶ形で債務者となる契約です。債務者と引受人は連帯債務に似た関係となります。併存的債務引受契約は、債権者・債務者・引受人の三者間で行うほか、下図のような2つの二者間契約によっても行うことができます(民法470条)。
第三者(引受人)と債務者との間で併存的債務引受契約をする場合、債権者が引受人に承諾することで効力が生じます。この契約形態は第三者のためにする契約となるので、第三者(債権者)から債務者(引受人)への受益の意思表示が必要とされています。併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
2 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
3 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。
4 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。 - 誤り。債務者の承諾は不要です。第三者(引受人)と債権者との間で併存的債務引受契約をする場合、債務者の承諾は不要です。この点は、保証契約が債務者の承諾を要しないことと同様です。
- 誤り。賃貸人の承諾が必要です。賃借人は、①賃借物を転貸をする、又は②賃借権を譲渡する場合、賃貸人の承諾を得なければなりません(民法612条1項)。
借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
Bは、①ではAの承諾がなければ甲土地を適法に転貸することはできないが、②ではAの承諾がなくても甲土地を適法に転貸することができる。(R4-6-2)①ではBはAの承諾を得ずにCに甲建物を賃貸することができ、②ではBはAの承諾を得なければ甲建物をCに転貸することはできない。(R3⑫-9-2)甲地上のA所有の建物が登記されている場合には、AがCと当該建物を譲渡する旨の合意をすれば、Bの承諾の有無にかかわらず、CはBに対して甲地の借地権を主張できる。(H17-13-1)AB間の借地契約が専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を20年とする借地契約である場合には、AはBの承諾の有無にかかわらず、借地権をCに対して譲渡することができ、CはBに対して甲地の借地権を主張できる。(H17-13-4)Bが、乙建物をEに譲渡しようとする場合において、Eが甲地の賃借権を取得してもAに不利となるおそれがないにもかかわらず、Aがその賃借権の譲渡を承諾しないときは、Bは、裁判所にAの承諾に代わる許可をするよう申し立てることができる。(H15-13-3)
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