債権総則 (全33問中1問目)

No.1

債務不履行に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、債務は令和2年4月1日以降に生じたものとする。
令和2年12月試験 問4
  1. 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限が到来したことを知らなくても、期限到来後に履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
  2. 債務の目的が特定物の引渡しである場合、債権者が目的物の引渡しを受けることを理由なく拒否したため、その後の履行の費用が増加したときは、その増加額について、債権者と債務者はそれぞれ半額ずつ負担しなければならない。
  3. 債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に、当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされる。
  4. 契約に基づく債務の履行が契約の成立時に不能であったとしても、その不能が債務者の責めに帰することができない事由によるものでない限り、債権者は、履行不能によって生じた損害について、債務不履行による損害の賠償を請求することができる。

正解 2

問題難易度
肢18.8%
肢266.2%
肢314.8%
肢410.2%

解説

  1. 正しい。債務の履行期および履行遅滞の責任が発生する時点は、債務の履行期限によって次の3つに分かれます(民法412条)。
    ①債務の履行に確定期限があるとき
    期限の到来した時
    ②債務の履行に不確定期限があるとき
    期限の到来後に請求を受けた時、期限到来を知った時のいずれか早い方
    ③債務の履行に期限の定めがないとき
    履行の請求を受けた時
    上記の通り、債務の履行について不確定期限があるときは、期限到来を知らなくても期限到来後に請求を受けた時から履行遅滞の責任を負います(民法412条2項)。
    ※不確定期限の債務とは「父が死んだら▲▲する」とか「次に総理大臣が変わったら□□する」などのように、到来するのは確実ですがその時期が未確定の債務です。
    債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
  2. [誤り]。債務の弁済があったにもかかわらず、債権者が正当な理由なく債務の受領を拒んだ場合には、債権者は受領遅滞の責任を負います。受領遅滞により増加した履行費用はその全額が債権者の負担となります(民法413条2項)。受領遅滞は債権者の責任なのに、債務者が半額負担するというのは不公平だからです。
    債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。
  3. 正しい。履行遅滞の責任を負っている間に、その債務が当事者双方の責めに帰することができない事由によって履行不能になった場合には、その履行不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとされます(民法413条の2第1項)。
    債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。
  4. 正しい。債務が履行不能であるときは、その不能の責任が債務者に一切ない場合を除いて、債権者は生じた損害について、債務不履行責任に基づく損害賠償請求をすることができます(民法415条1項)。債務の履行が契約の成立時に不能、いわゆる「原始的不能」の契約であっても損害賠償請求できることが、民法改正で明文化されました(民法412条の2第2項)。
    債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
    契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第四百十五条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない。
したがって誤っている記述は[2]です。