売買契約(全31問中19問目)
No.19
Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。平成21年試験 問10
- A所有の甲土地にAが気付かなかった契約上の不適合があり、その不適合については、Bも不適合であることに気付いておらず、かつ、気付かなかったことにつき過失がないような場合には、Aは担保責任を負う必要はない。
- BがAに解約手付を交付している場合、Aが契約の履行に着手していない場合であっても、Bが自ら履行に着手していれば、Bは手付を放棄して売買契約を解除することができない。
- 甲土地がAの所有地ではなく、他人の所有地であった場合には、AB間の売買契約は無効である。
- A所有の甲土地に契約の内容に適合しない抵当権の登記があり、Bが当該土地の抵当権消滅請求をした場合には、Bは当該請求の手続が終わるまで、Aに対して売買代金の支払を拒むことができる。
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正解 4
問題難易度
肢112.2%
肢27.8%
肢39.4%
肢470.6%
肢27.8%
肢39.4%
肢470.6%
分野
科目:1 - 権利関係細目:8 - 売買契約
解説
- 誤り。売買の目的物に契約不適合があった場合、売主は契約に基づき、買主からの追完請求(563条)、代金減額請求(564条)、契約解除(541条・542条)、損害賠償請求(415条)の担保責任を負います。
- 誤り。解約手付が交付された場合、相手方が履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を買主に現実に提供することで契約を解除できます(民法557条)。
「相手方が契約の履行に着手するまで」なので、手付解除を申し出る側の買主Bが契約の履行に着手していたとしても、相手方である売主Aが着手していなければ、買主Bは手付解除をすることができます。買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。
2 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。BがAに対して手付を交付した場合、Aは、目的物を引き渡すまではいつでも、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することができる。(R3⑫-4-1) - 誤り。他人の物や権利を目的とする売買契約であっても無効とはなりません。他人物売買では、売主は目的物の権利を取得して買主に引き渡す義務を負い、もし引渡しができなければ債務不履行責任を負うことになります(民法561条)。
他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
他人が所有している土地を目的物にした売買契約は無効であるが、当該他人がその売買契約を追認した場合にはその売買契約は有効となる。(R6-1-4)Bが購入した目的物が第三者Cの所有物であり、Aが売買契約締結時点でそのことを知らなかった場合には、Aは損害を賠償せずに売買契約を解除することができる。(R3⑫-4-3)売買契約締結時には当該自動車がAの所有物ではなく、Aの父親の所有物であったとしても、AC間の売買契約は有効に成立する。(H29-5-4)Bが、甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合、Aの責めに帰すべき事由により、Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは、BはAに対して、損害賠償を請求することができる。(H28-6-1)Bが、甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合、Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは、Bは、本件契約を解除することができる。(H28-6-2)買主が、売主以外の第三者の所有物であることを知りつつ売買契約を締結し、売主が売却した当該目的物の所有権を取得して買主に移転することができない場合には、買主は売買契約の解除はできるが、損害賠償請求はできない。(H17-9-1)Bが購入した土地の一部を第三者Dが所有していた場合、Bがそのことを知っていたとしても、BはAに対して追完請求をすることができる。(H16-10-3)Aが、B・Cに無断で、この建物を自己の所有としてDに売却した場合は、その売買契約は有効であるが、B・Cの持分については、他人の権利の売買となる。(H13-1-1) - [正しい]。買い受けた不動産に契約の目的に適合しない抵当権の登記があり、買主が抵当権消滅請求をした場合は、買主はその手続きが終わるまで売買代金を支払うことを拒むことができます(民法577条)。抵当権消滅請求が成立したときは、買主は、債務者に代位して弁済した額を売主に対して求償できますが、通常この求償額は売買代金と相殺されるため、実際に支払金額が確定するまで売買代金を支払うことが猶予されることになっています。なお、抵当権の登記があるが契約の内容となっているときは、抵当権が実行されうることを知って買ったのですから保護されません。
買い受けた不動産について契約の内容に適合しない抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる。この場合において、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる。
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