借地借家法(建物)(全28問中14問目)
No.14
借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。平成26年試験 問12
- 定期建物賃貸借契約を締結するには、公正証書による等書面又は電磁的記録によらなければならない。
- 定期建物賃貸借契約を締結するときは、期間を1年未満としても、期間の定めがない建物の賃貸借契約とはみなされない。
- 定期建物賃貸借契約を締結するには、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了によって終了することを、当該契約書と同じ書面内に記載して説明すれば足りる。
- 定期建物賃貸借契約を締結しようとする場合、賃貸人が、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了によって終了することを説明しなかったときは、契約の更新がない旨の定めは無効となる。
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正解 3
問題難易度
肢111.6%
肢214.7%
肢360.6%
肢413.1%
肢214.7%
肢360.6%
肢413.1%
分野
科目:1 - 権利関係細目:15 - 借地借家法(建物)
解説
- 正しい。定期建物賃貸借は、公正証書による等書面(又は電磁的記録)によって契約しなければなりません。「公正証書による等書面」というのは条文上の表現で、公正証書などの書面という意味です。公正証書に限らず書面であればOKなので注意しましょう(借地借家法38条1項)。
期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
契約①の場合、公正証書によって契約をするときに限り契約の更新がないことを有効に定めることができ、契約②の場合、書面で契約し、かつ、Aに正当な理由がない限り、Aは契約の更新を拒絶することができなくなる。(R6-12-4)賃貸人は、建物を一定の期間自己の生活の本拠として使用することが困難であり、かつ、その期間経過後はその本拠として使用することになることが明らかな場合に限って、定期建物賃貸借契約を締結することができる。(H20-14-1)定期建物賃貸借契約は書面又は電磁的記録によって契約を締結しなければ有効とはならないが、一時使用賃貸借契約は口頭で契約しても有効となる。(H19-14-1)定期借家契約は、公正証書によってしなければ、効力を生じない。(H15-14-2) - 正しい。定期建物賃貸借では存続期間の上限も下限もありません。よって、1年未満の存続期間であっても有効に定めることができます。例えば、マンスリーマンションやウイークリーマンションは定期建物賃貸借契約を使って1カ月や1週間などの契約期間を定めています。
- [誤り]。定期建物賃貸借の事前説明は、契約書面内に記載して説明するだけではダメです。
定期建物賃貸借契約を締結する際は、貸主から借主に対し、あらかじめ契約の更新がなく期間満了により終了する旨の説明をする必要があります(借地借家法38条3項)。この事前説明は、あらかじめ契約書とは別個独立の書面を交付し(又は電磁的方法により提供して)、説明することが必要です(最判平24.9.13)。前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
借地借家法38条3項所定の書面は,賃借人が,その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要する。
BはAに対して、本件契約締結前に、契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借が終了する旨を記載した賃貸借契約書を交付して説明すれば、本件契約を借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約として締結することができる。(R4-12-1)公正証書によって定期建物賃貸借契約を締結するときは、賃貸人は、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借は終了することについて、あらかじめ、その旨を記載した書面を交付して説明する必要はない。(H20-14-2)定期借家契約を締結しようとするときは、賃貸人は、あらかじめ賃借人に対し、契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付して又は電磁的方法により提供して説明しなければならない。(H15-14-3) - 正しい。定期建物賃貸借契約を締結しようとするときに、賃貸人が、更新がなく期間の満了によって終了することを借主に説明しなかったときは、契約の更新がない旨の定めは無効となります(借地借家法38条5項)。この場合、当該契約は期間の定めがある普通建物賃貸借となり、法定更新がある状態となります。
建物の賃貸人が第三項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
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