代理(全18問中11問目)
No.11
AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。平成20年試験 問3
- Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、A自らが買主となって売買契約を締結したときは、Aは甲土地の所有権を当然に取得する。
- Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、AがCの代理人となってBC間の売買契約を締結したときは、Cは甲土地の所有権を当然に取得する。
- Aが無権代理人であってDとの間で売買契約を締結した後に、Bの死亡によりAが単独でBを相続した場合、Dは甲土地の所有権を当然に取得する。
- Aが無権代理人であってEとの間で売買契約を締結した後に、Aの死亡によりBが単独でAを相続した場合、Eは甲土地の所有権を当然に取得する。
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正解 3
問題難易度
肢17.1%
肢210.3%
肢374.8%
肢47.8%
肢210.3%
肢374.8%
肢47.8%
分野
科目:1 - 権利関係細目:3 - 代理
解説
- 誤り。代理人が自ら買主となるように、本人と代理人の利益が相反する行為が行われた場合、無権代理行為とみなされます(民法108条2項)。よって、所有権を当然に取得するわけではなく、Bの事前許諾の有無、Bの追認により判断されます。
前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
- 誤り。本人の許諾なく当事者双方の代理人となってした行為は、無権代理行為とみなされます(民法108条1項)。よって、CはBの追認がなければ甲土地を当然に取得することはできません(民法113条1項)。
同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
BがCの代理人も引き受け、AC双方の代理人として甲土地に係るAC間の売買契約を締結した場合、Aに損害が発生しなければ、Bの代理行為は無権代理とはみなされない。(R2⑫-2-2)BがCの代理人にもなって本件契約を成立させた場合、Aの許諾の有無にかかわらず、本件契約は無効となる。(H30-2-3)不動産の売買契約に関して、同一人物が売主及び買主の双方の代理人となった場合であっても、売主及び買主の双方があらかじめ承諾をしているときには、当該売買契約の効果は両当事者に有効に帰属する。(H24-2-3)Bは、Aに損失が発生しないのであれば、Aの意向にかかわらず、買主Fの代理人にもなって、売買契約を締結することができる。(H21-2-4)Bは、Aの同意がなければ、この土地の買主になることができない。(H12-1-3) - [正しい]。本人の死亡により無権代理人が本人を単独で相続した場合、無権代理行為の追認を拒絶することはできないため、無権代理行為は当然に有効となります(最判昭40.6.18)。Bを単独で相続したAは無権代理行為を拒絶できないため、代理行為は有効となり、Dは甲土地の所有権を取得します。
無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰するにいたつた場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当である。
- 誤り。無権代理人の死亡により、本人が単独で無権代理人を相続した場合、本人は無権代理行為を拒絶することができます(最判昭37.4.20)。Aを単独で相続したBは無権代理行為を拒絶できるため、Bが追認をしない限り、Eは甲土地の所有権を取得することはできません。
本人が無権代理人の家督を相続した場合、被相続人の無権代理行為は、右相続により当然には有効となるものではない。
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