不動産登記法(全27問中1問目)

No.1

不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
令和6年試験 問14
  1. 買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から10年を経過したときは、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。
  2. 不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者が単独で申請することができる。
  3. 相続人ではない者に対する遺贈による所有権の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
  4. 登記名義人の住所についての変更の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。

正解 3

問題難易度
肢119.2%
肢217.7%
肢355.6%
肢47.5%

解説

  1. 正しい。売買契約から10年を経過した買戻しの特約を抹消する登記は、登記権利者が単独で申請することができます(不動産登記法69条の2)。
    【参考】
    買戻しの特約の期間は最長10年であるため、売買契約から10年を経過した買戻しの特約は、例外なく法律上の効力が消滅しています。このような背景により、登記手続きの簡略化を目的として単独申請が可能となりました(R5改正)。
    買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。
  2. 正しい。所有権の移転の登記は、登記権利者及び登記義務者が共同して申請するのが原則ですが、不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者(収用事業を行う者)が単独で申請することができます(不動産登記法118条1項)。収用の場合、収用される側である登記名義人の協力が得られないことが多いためです。
    不動産の収用による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、起業者が単独で申請することができる。
    不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者が単独で申請することができる。H24-14-4
  3. [誤り]。単独申請できるのは、相続人に対する遺贈です。本肢は相続人以外の者に対する遺贈なので、原則どおり相続人と受遺者の共同申請となります(不動産登記法63条3項)。
    【参考】
    遺贈と特定財産承継遺言では贈与と相続という違いはありますが、遺言に基づいて相続人に権利が移転するという意味では同じです。このため、相続登記と同様に、相続人に対する遺贈の登記も単独申請が可能となりました(R5改正)。
    遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。
  4. 正しい。登記名義人の氏名又は名称・住所についての変更や更正の登記は、権利の登記のひとつですが、権利の設定や移動ではなく単なる情報更新です。このケースでは、登記義務者と登記権利者の関係が存在しないので、登記名義人が単独で申請することができます(不動産登記法64条1項)。
    登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。
    所有権の登記名義人は、その住所について変更があったときは、当該変更のあった日から1月以内に、変更の登記を申請しなければならない。H30-14-4
    登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。H17-16-3
したがって誤っている記述は[3]です。