不動産登記法(全26問中2問目)

No.2

不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
令和4年試験 問14
  1. 所有権の移転の登記の申請をする場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
  2. 所有権の移転の登記の申請をする場合において、当該申請を登記の申請の代理を業とすることができる代理人によってするときは、登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由があるとみなされるため、登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない。
  3. 所有権の移転の登記の申請をする場合において、登記権利者が登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をしたときは、当該登記に係る登記識別情報は通知されない。
  4. 所有権の移転の登記の申請をする場合において、その登記が完了した際に交付される登記完了証を送付の方法により交付することを求めるときは、その旨及び送付先の住所を申請情報の内容としなければならない。

正解 2

問題難易度
肢18.2%
肢259.5%
肢320.0%
肢412.3%

解説

  1. 正しい。権利に関する登記を申請するときは、所有権の保存登記などの一部の登記を除き、申請情報として登記原因を記載するとともに、添付情報としてその登記原因を証する情報を提供しなければなりません(不動産登記法61条)。登記原因を証する情報とは、所有権であれば売買契約書、贈与契約書、遺産分割協議書、抵当権であれば抵当権設定契約書、弁済証書などです。登記官は、登記原因を証する情報をチェックし、権利移動の実体があったことを確認した上で登記を行うことになっています。
    権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
    表示に関する登記を申請する場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。H26-14-1
  2. [誤り]。登記識別情報は、登記することによって申請人自らが登記名義人となる登記が完了したときに、登記所から通知される12桁の識別情報で、権利者本人であることを示す秘密情報のようなものです。
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    登記名義人として登記を申請するときは、真の権利者であることを証明するために、正当な理由がある場合を除いて、登記識別情報を提供しなければなりません(不動産登記法22条)。司法書士等の代理人が登記を申請するという理由は、正当な理由に含まれないため、登記識別情報の提供を省略することはできません。なお、正当な理由があるとみなされる場合は以下のケースです(不動産登記準則42条)。
    1. 登記識別情報が通知されなかった場合
    2. 登記識別情報の失効の申出に基づき、登記識別情報が失効した場合
    3. 登記識別情報を失念した場合
    4. 登記識別情報を提供することにより登記識別情報を適切に管理する上で支障が生ずることとなる場合
    5. 登記識別情報を提供したとすれば当該申請に係る不動産の取引を円滑に行うことができないおそれがある場合
    登記権利者及び登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合その他登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者(政令で定める登記の申請にあっては、登記名義人。次条第一項、第二項及び第四項各号において同じ。)の登記識別情報を提供しなければならない。ただし、前条ただし書の規定により登記識別情報が通知されなかった場合その他の申請人が登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合は、この限りでない。
  3. 正しい。登記をすることによって申請人が登記名義人となる場合には、登記が完了したとき、申請者に登記識別情報が通知されます。ただし、申請人が登記識別情報の通知を希望しなかった場合には通知は行われません(不動産登記法21条)。
    登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合その他の法務省令で定める場合は、この限りでない。
  4. 正しい。登記完了証は、申請された登記が完了したとき、登記所から申請人に対して交付されるものです。登記完了証は、印鑑と身分証明書を持参して登記所の窓口で受け取るのが原則ですが、申請情報に送付で受け取る旨と送付先住所を記載することにより、郵送で受け取ることもできます(不動産登記規則182条2項)。なお、登記完了証も申請者が通知を希望しなかったときは交付されません。
    送付の方法により登記完了証の交付を求める場合には、申請人は、その旨及び送付先の住所を申請情報の内容としなければならない。
したがって誤っている記述は[2]です。