平成22年試験  問3  時効の起算点について

★☆さん
(No.1)
時効期間の始期について教えてください。
平成22年試験  問3において、次の通りあります。

肢3
時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。

解説
正しい。時効の援用者が時効起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできません(最判昭35.7.27)。


確かに、時効の開始時期を都合の良いように選んでしまうことは問題と思います。

しかしながら、占有期間は承継できます。
例えば、悪意で甲土地の占有を開始したAがいて、5年後、善意のBがこれを取得したとします。Bがこの土地を6年間占有した後、悪意のCが取得したとします。
この場合、Cは、①自分を起点とした20年、②Aを起点とした9年、③Bを起点とした4年のいずれかの期間の経過後に時効取得できるかと思います。
そうすると、時効援用者であるCが、時効起算点を選択できると考えられるかなと思ってしまいました。

この点について、どう考えればよいかご教示いただけると嬉しいです。
2024.10.05 17:20
パオさん
(No.2)
判例問題に突っかかっても仕方がないです。そういうものだと割り切って覚えてしまうのが得策です。
2024.10.05 17:27
レオンさん
(No.3)
時効取得の起算点が問題になるのは、新たに物件を取得した第三者との関係においてです。

起算点を遅らせられるとすると、本来時効取得後の第三者にあたるはずの者に対しても、登記なくして所有権の取得を主張することが可能になりえます。第三者の権利取得時期を時効完成前にずらすことによって、対抗関係を解除することができるためです。

つまり、起算点の選択そのものというより、起算点を遅らせることが問題になるのです。

したがって、自己より前の占有を起算点に選択しても、起算点を早めるだけであるため問題にならないのです。

なお、起算点を早めることは時効完成を認めやすくなり、本来の権利者との関係では問題となりえます。しかし、本来の権利者があぐらをかいていることと、占有主が誰であるかというのは関係ありません。よって、前の占有を主張することも許されるのです。
2024.10.05 19:02
ti27004さん
(No.4)
手抜きの説明になりますが、書籍に記載されたものを引用します。
『A所有の甲土地とB所有の乙土地の境界をめぐって争いとなり,AはBに対し境界確認の訴えを提起した。そして,本件係争地が乙土地に含まれるとされるときは,Aは時効取得しているので本件係争地の所有権移転登記手続をせよと主張した。Aは遅くとも昭和21年には本件係争地を20年以上占有しており,Bは乙土地を昭和28年9月に買い受けて移転登記を経由していた。いわゆる取得時効と登記の判例理論では,取得時効完成後にその土地を譲り受けて登記を経由した第三者に対しては時効取得を対抗できない(大連判大14・7・8民集4巻412頁,最判昭33・8・28民集12巻12号1936頁)ので,Aは昭和28年10月からさかのぼって20年の取得時効を主張した。しかし,本判決は,「時効による権利の取得の有無を考察するにあたっては,単に当事者間のみならず,第三者に対する関係も同時に考慮しなければなら」ないから,「取得時効を援用する者において任意にその起算点を選択し,時効完成の時期を或いは早め或いは遅らせることはできない」とした。』(法学講義民法 総則  第3版)

占有期間の承継の話との違いは、例えるならば時効の起算点に旗が立てられていて、自分が立てた旗から数えるか、前の人が立てた旗から数えるかは選べても、既に立てた旗を引き抜いて勝手に立て直すのは認めない、という話になるかと思います。
2024.10.05 19:06
★☆さん
(No.5)
>>レオンさん
ご回答ありがとうございます。
正直難しくて内容をほとんど理解できませんでしたが、起算点を遅らせられることが問題になるということですね。

>>ti27004さん
判例も含めありがとうございます。
下記の説明は解りやすかったです。
起算点を選択するというのは、占有期間の承継を指しているのではなく、自分の好きなタイミングには選べない、という至極当たり前のことを言っているということですね。

>>占有期間の承継の話との違いは、例えるならば時効の起算点に旗が立てられていて、自分が立てた旗から数えるか、前の人が立てた旗から数えるかは選べても、既に立てた旗を引き抜いて勝手に立て直すのは認めない、という話になるかと思います。
2024.10.05 19:52

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