営業保証金と保証協会の公告必要・不要について

アカサさん
(No.1)
営業保証金と保証協会に出てくる公告必要と不要のケースについての理由を知りたいです。
なぜ営業保証金では一部の事務所の廃止は公告必要なのな、保証協会では不要など。

理由を理解して記憶したいです。

宜しくお願いいたします。
2023.03.10 23:19
れふぃさん
(No.2)
>理由を理解して記憶したい
この説明には供託法であるとか、公告とは何かとか前提知識が必要になると思います。
やや回り道ですが宅建試験で直接関係がないけどアウトラインから。

供託ってのは「国(現実には法務局の供託部門。大きい法務局にある感じです。)」に「お金など」を預ける仕組みです。
弁済供託とか執行供託とか様々な種類がありますが、そのうちここでの話は営業保証供託という仕組みに分類されるものです。
まさに宅建業法でいう「営業保証金」として要求されている供託の類型で、お客さんが高額取引をしているのだからトラブルが生じていざ損害賠償を請求したときに「業者がお金ないから払えません」じゃ世の中良くないよね、と言ってるのです。なので、金銭等を国に預けておいていざとなったらそっからきちんと支払いなさいよという仕組みです(=業者目線、使えない金。利息は出るが雀の涙。)。

業者―供託する(国に預ける)――――――――→供託所(法務局)
|  ←辞めるときなどに返してもらう(取戻)――

消費者―何かあったとき支払ってもらう(還付)→

ただ、通常の営業保証金って高いですよね。1000万もスタートアップで「動かせない金」を置いておくのは本当に起業が大変です。起業後としても動かせない金ってのはしんどいんです。
業者サイド負担が大きすぎるので、団体作って「動かせない金」を少なくしようという試みが弁済業務保証金です。供託所と業者の間に保証協会を入れて「まとめて」管理させるような仕組みです。

業者―納付―→保証協会―供託→供託所(法務局)
    ←返還――        ←取戻―

消費者―認証→
      ←――還付―――――――

さて、「公告」とはなんぞやですが。さしあたりイメージは「官報公告」が良いと思います。検索したら出ますので、イメージ湧かないなら実物見ても良いかも。図書館なんかに置いてあったりもします。
世の中にとって大事なことを国が「公に」示すんです。破産であるとか倒産であるとか、はたまた一定の国家資格の合格を掲示するだとか企業の財務情報を乗せるなどに使われています。破産倒産に興味関心があるのは銀行でしょうから、官報に目を光らせておけば良いわけです。
ちなみに「広告」とはスーパーのチラシをイメージすると良いと思います。自分の商品サービスを買ってもらうためにマーケティングの一環として行う類のものって感じ。

で、なんで還付請求で公告の要否に違いがでるのか。
ズバリ、宅建業者が保証金の取戻を行った場合に「消費者に不測の事態が生じるか」を考えると整理がしやすいと思います。
ここで還付請求権を持つ消費者ってのはまさに瑕疵ある物件を掴まされたようなお客さんで、これから損害賠償請求を宅建業者にかけようとするシーンなんですよね。新築買ったのに雨漏りしてるやんけふざけんな損害賠償だ!というわけです。その金額をあらかじめ業者が預けておいた供託金からぶんどろう、という局面なわけです。

つまり、宅建業者の取戻ってのは消費者の還付に一歩後退するんです。

元々、何かトラブルが生じたときのために供託所に預けておいたお金なんだから、「供託金を私は取り戻すけど、10月1日までに還付請求する人は申し出てくださいね」と公告しろと業法が要求したのです。そりゃそうです、元々将来トラブルが生じた際の消費者のための制度ですから。

で、公告が要求されているのは取戻事由(5つほどテキストに載ってると思います)のうち、
①免許失効にかかるもの(業者が廃業のシーン)
②免許取消にかかるもの(同上)
  →業界から業者が足を洗うと言ってるんです。すぐ保証金を業者に渡すわけにはいきません。
③事務所の一部廃止
  →それまで1500万あった供託金が1000万に減るんです。これも消費者が受ける恩恵が減ってしまう可能性があるのですぐ渡すわけにはいかないでしょう。トラブルが生じた消費者って1人とは限らないんですよね。支店が多ければ多いほど、人数も増えてトータルの賠償額も大きくなっちゃうんですよね。その後どうなるかは供託法の問題で試験外ですが、債権者平等原則が働いちゃう局面で、要するに満足に債権回収ができなくなる可能性が高いです。

(続く)
2023.03.11 08:48
れふぃさん
(No.3)
この投稿は投稿者により削除されました。(2023.03.11 08:49)
2023.03.11 08:49
れふぃさん
(No.4)
(続き)
メモ帳の下書きからのコピペをミスりました(*´Д`)



ところが、10年経過の云々って話ありますよね(業法30-2但)。これ原因があって10年も経ってるんですよ?普通は民法上の消滅時効とか起きてそうですし、そもそも10年経過しているのにも関わらず還付請求権を行使せずに供託所からお金を貰わなかった消費者が悪いよねって話です。
一方で④事務所移転に伴うものだとか、⑤保証協会への入会だとかは消費者に不測の事態は生じません。いつでも従前の営業保証金制度の恩恵を受けることができる状態が続くので、こちらも公告は不要です。

弁済業務保証金の方は「保証協会」を経由して供託所に預ける仕組みですから、業者サイドではなく保証協会が供託したり還付したり手続を行いますよね。
なので、供託・取戻の手続主体は保証協会になります。消費者としてもいきなり供託所に還付請求するのではなく、保証協会を経由(「認証」とテキストにあるはず)して供託金をゲットする仕組みです。
弁済業務保証金を業者が返還請求できるシーンってのは❶協会を辞める、❷事務所の一部廃止ですが、❶の場合には保証協会が「この業者、うちの協会辞めるけど認証受けたい人(トラブル起きて還付請求したい人)いませんか?」と探させる必要ありますよね。
消費者目線、保証協会に入っている業者の方がより還付請求できる可能性が高いんですから(保証協会の供託金の方が業者個人の保証金よりも桁違いなのは自明でしょう。なにより準備金の制度すらある)。要するに業者が協会を辞める前に、トラブル抱えてて支払って欲しい人がいないか探させる仕組みです。
でも、❷の事務所一部廃止ってそんな事態生じないですよね?業者は保証協会を辞めていませんから、消費者目線でこれによって還付請求が満足に受けることができなくはならないんです。そもそも事務所一部廃止の30万円って誤差でしょう、保証協会全体の供託金を考えると。
この点、前述の③との比較として一応頻出なので過去問チェックしてみると良いかも。手元のテキストにはH27-42-2、H30-44-4とメモがあるのでその辺りの過去問じゃないかと思います。

以上、私の受験時代の解釈でした。
あくまで私見ではあるけどそれほど間違ってはないんじゃないかなw
2023.03.11 08:53
会社員さん
(No.5)
すでに出ているコメントは読んでいないので、重複しているかもしれませんが、その場合は、ご容赦ください。

◯営業保証金
供託所に保証金を供託するのは、宅建業者です。
取引上のトラブルで相手方にお金が還付される場合、供託所を介するとしても、結局は宅建業者がお金を払っているイメージです。

◯弁済業務保証金(宅建業保証協会)
供託所に保証金を供託するのは、保証協会です。保証協会の社員である各宅建業者は、弁済業務保証金「分担金」を保証協会に納付します。
「分担金」という名前のとおり、取引の相手方に還付されるお金を、各宅建業者で(一時的に)分担しているイメージです。
(最終的には、取引上のトラブルを起こした業者が、還付充当金を保証協会に納付することになります)

上記のような違いがあり、保証協会が間に入ることで、取引の相手方が還付を受けられなくなったりする可能性が比較的低いと考えられます。そのため、両制度の違いにつながると、私は理解していました。

また、試験ではあまり出題されませんが、保証協会の場合、特別弁済業務保証金分担金という、社員(宅建業者)の倒産などの事態にも対応する制度があります。
そういう点からも、営業保証金に比べて、取引の相手方の保護が図られやすい制度だと、私は考えていました。
2023.03.11 11:09

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