成年被後見人について

来年受験予定のたま子さん
(No.1)
最近勉強し始めた者です。

成年被後見人は、成年後見人の同意を得て契約した(家の売買など)のであっても取り消すことができる

これは、成年被後見人が殆ど事理弁識能力を欠いた状態にあるため、成年後見人の意図を契約の相手方に正確に伝えることが難しいから取り消しできる、と理解できるのですが…。

一方で、遺言においては医師二名以上が立ち会って、成年被後見人が一時的に事理弁識能力を回復していると確認できれば、一定のルールに基づいて有効に遺言ができる、ということは…「成年被後見人が一時的に事理弁識能力を回復した」と医師等が判断した状態で本人が行った契約行為は取り消しできないのでしょうか?

すみません、教えてください。

2021.12.19 21:41
となりのトントロさん
(No.2)
 2021年10月宅建試験に36点ギリギリ合格したものです。

【民法973条  成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。】
というのは、成年被後見人であるけれども遺言が行える、という法律だと思います。一時回復したとはいえ成年被後見人であることに変わりはないので、契約は取り消しできるのではないでしょうか。。。(もし間違ってたらごめんなさい!)

あとこれは質問とは関係ないですが、宅建試験において民法の深追いは危険です!
あれこれパターンを考えるよりも、テキストに忠実に振り返られるように勉強されたほうが合格に繋がると思います。

ギリギリ合格の者が言うのも大変おこがましいですが、たま子さんの参考になりましたら幸いです。
2021.12.20 00:27
みささん
(No.3)
取消権は民法百二十条の改正点でしょうか。
契約と遺言は別の法ですから認められる行為と制限ある行為とは色々と異なります。
一般契約なら日用品等の購入などです(民法九条)。これは軽微な契約取引のため、本人でも成年後見人でも取り消すことはできません。
成年被後見人は、一時的に事理弁識能力が認められても、裁判所で成年被後見人として取り消されれば、事理弁識能力を有すると認められます。
そうでなければ誰かが認めたとしても成年被後見人のままです。よって、成年被後見人の状態で本人がした行為は一時的に回復していたとしても取り消すことは可能だと考えます。
また成年後見人に同意権はありません。被後見人に事理弁識能力がないから同意する行為はないと解されているからです。

もし、事理弁識能力が回復したと詐術を行い行為能力者だと相手に信じさせた場合は、その行為を取り消すことができない(民法二十一条。

どういう場合の契約か次第では取消できる場合とできない場合があります。
2021.12.20 00:45
4冠行書マンさん
(No.4)
恐れ入ります。

不動産4冠(宅建士/マンション管理士/管理業務主任者/賃貸不動産経営管理士)の行政書士合格者です。

結論から申し上げますと、ご質問の二つの論点については、前者が「成年被後見人の法律行為」/後者が「成年被後見人が遺言をするための要件」で全く別のハナシと捉えて頂いて構いません。

つまり、「事理を弁識する能力を一時回復」とありますが、この記載と「事理を弁識する能力を欠く常況にある者」は、同じ「事理弁識能力」とありますが、
その【対象としているもの】が全くことなります。

試験対策としては別々に押さえて頂ければと思います。

(成年被後見人の遺言)
第九百七十三条  成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において【遺言】をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。

→  事理弁識能力を回復とありますが、これはあくまで成年被後見人が【遺言】をするための要件です。

(後見開始の審判)
第七条  精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、(〜略〜)後見開始の審判をすることができる。

→ご質問の通り、成年後見人に同意権はありませんから、成年被後見人が行った法律行為は、成年後見人の同意の有無にかかわらず、

  日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、【取消すことができます】。

(成年被後見人の法律行為)
第九条  成年被後見人の【法律行為】は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

この【法律行為】とは、仰る通り不動産の売買契約等の【AさんがBさんに甲建物を売りました】といったような【相手方のある/相手方のいる】ものを言います。

一方、【遺言】ですが、これは、法律行為の一つではあるのですが、【相手方のいない/ない単独行為】というもので、民法9条の【法律行為】とは別物です。

【相手方のいない/ない単独行為】というのは、誰かが受領することや承諾することは、必要ないという事です。遺言は本人がして終わり。
逆に売買契約等の法律行為については、冒頭で申し上げた通り、【売主/買主】といった【相手方のある/相手方のいる】ものになり、
売主「売ります!」買主「買います」といったように当事者の意思の合致が必要になります。
2021.12.20 17:00
来年受験予定のたま子さん
(No.5)
すごく勉強になりました♪

となりのトントロさま、みささま、4冠行書マンさま、皆様、分かりやすい説明ありがとうございました。
2021.12.20 18:10

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