宅建試験過去問題 令和7年試験 問45

問45

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金(以下この問において「保証金」という。)の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約(以下この問において「保険契約」という。)の締結に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 宅地建物取引業者は、基準日から3週間を経過する日までの間において、当該基準日前15年間に自ら売主となる売買契約に基づき宅地建物取引業者ではない買主に引き渡した新築住宅(保険契約に係る新築住宅を除く。)について、保証金の供託をしていなければならない。
  2. 宅地建物取引業者は、自ら売主となる売買契約に基づき新築住宅を引き渡す場合だけでなく、新築住宅の売買の媒介をする場合においても、保証金の供託又は保険契約の締結をしなければならない。
  3. 保険契約を締結している宅地建物取引業者は、新築住宅を引き渡した時から10年間、構造耐力上主要な部分の瑕疵によって生じた損害についてのみ当該保険契約に係る保険金を請求することができる。
  4. 保険契約を締結している宅地建物取引業者及び当該業者が売主となっている新築住宅の買主は、指定住宅紛争処理機関に特別住宅紛争処理の申請をすることにより、当該新築住宅の売買契約に関する宅地建物取引業者と買主との間の紛争について、あっせん、調停又は仲裁を受けることができる。

正解 4

問題難易度
肢15.9%
肢28.5%
肢319.0%
肢466.6%

解説

  1. 誤り。15年間ではありません。住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結(以下、資力確保措置という)の対象は、基準日(毎年3月31日)前10年間に自ら売主として引き渡した新築住宅です。このため、資力確保措置の状況の届出も過去10年間の物件がその対象となります(履行確保法11条1項)。
    宅地建物取引業者は、毎年、基準日から三週間を経過する日までの間において、当該基準日前十年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅について、当該買主に対する特定住宅販売瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。
  2. 誤り。資力確保措置を講じる義務があるのは、自ら売主として新築住宅の販売をした宅地建物取引業者です。取引を媒介した宅建業者にはこの義務はありません(履行確保法11条1項)。
    宅地建物取引業者は、毎年、基準日から三週間を経過する日までの間において、当該基準日前十年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅について、当該買主に対する特定住宅販売瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。
  3. 誤り。雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁、家の外にある排水管等)も対象です。
    住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について、瑕疵担保責任を履行した宅地建物取引業者の請求に基づき、保険金が支払われるものです。もし宅地建物取引業者が責任を果たさないときは、買主も損害の補償を受けるために保険金を請求することができます(履行確保法2条7項2号品確法94条1項)。
    その引受けを行う者が次に掲げる事項を約して保険料を収受するものであること。
    イ 住宅品質確保法第九十五条第一項の規定による担保の責任(以下「特定住宅販売瑕疵担保責任」という。)に係る新築住宅に同項に規定する瑕疵がある場合において、宅地建物取引業者が当該特定住宅販売瑕疵担保責任を履行したときに、当該宅地建物取引業者の請求に基づき、その履行によって生じた当該宅地建物取引業者の損害を填補すること。
    ロ 特定住宅販売瑕疵担保責任に係る新築住宅に住宅品質確保法第九十五条第一項に規定する瑕疵がある場合において、宅地建物取引業者が相当の期間を経過してもなお当該特定住宅販売瑕疵担保責任を履行しないときに、当該新築住宅の買主(宅地建物取引業者であるものを除く。第十九条第二号を除き、以下同じ。)の請求に基づき、その瑕疵によって生じた当該買主の損害を填補すること。
    …住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)…
  4. [正しい]。指定住宅紛争処理機関は、住宅品質確保法に基づき設置されているADR機関です。住宅瑕疵担保責任保険契約に係る売買契約に関する紛争の当事者双方または一方は、指定住宅紛争処理機関に対し、住宅紛争処理を申請することにより、裁判外で当該紛争のあっせん・調停・仲裁サービスを受けることができます(履行確保法33条1項)。
    住宅品質確保法第六十六条第二項に規定する指定住宅紛争処理機関(以下単に「指定住宅紛争処理機関」という。)は、住宅品質確保法第六十七条第一項に規定する業務のほか、住宅瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅(同項に規定する評価住宅を除く。)の建設工事の請負契約又は売買契約に関する紛争の当事者の双方又は一方からの申請により、当該紛争のあっせん、調停及び仲裁の業務を行うことができる。
したがって正しい記述は[4]です。