宅建試験過去問題 令和7年試験 問43
問43
宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
- 自らを委託者とする宅地又は建物に係る信託の受益権の売主となる場合、相手方に金融商品取引法第2条第10項に規定する目論見書を交付し、宅地建物取引業法第35条第3項の規定に基づき説明すべき事項のすべてが当該目論見書に記載されているときは、重要事項説明書の交付及び説明を省略することができる。
- 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が建築工事の完了前のものであるときは、その完了時における当該建物の主要構造部、内装及び外装の構造又は仕上げ並びに設備の設置及び構造について説明しなければならない。
- 建物の貸借の媒介を行う場合、敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項を説明しなければならない。
- 宅地の売買の媒介を行う場合、当該宅地が津波防災地域づくりに関する法律第21条第1項により指定された津波防護施設区域内にあるときは、同法第23条第1項の規定による制限の概要について説明しなければならない。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
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正解 4
問題難易度
肢17.1%
肢226.7%
肢345.0%
肢421.2%
肢226.7%
肢345.0%
肢421.2%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:7 - 35条書面
解説
- 正しい。宅地建物取引業者が、自らを委託者とする宅地建物の信託に係る信託受益権を自ら売主として販売する場合には、買主(宅建業者を含む)に対し、その信託不動産についての重要事項説明書を交付し、説明をする必要があります(宅建業法35条3項)。ただし、信託受益権は金融商品であるため、金融商品取引法で契約前の説明が不要とされている3つの場合については、宅建業法でも重説が不要とされています(宅建業法規則16条の4の4第1項)。
- 相手方が特定投資家(金融商品取引業者、投資法人、銀行、保険会社、国など投資のプロ)である場合
- 相手方に対し、契約前1年以内に同一の内容の重要事項説明をしている場合
- 相手方に目論見書(重説の記載事項を全て含む)を交付している場合

宅地建物取引業者は、宅地又は建物に係る信託(当該宅地建物取引業者を委託者とするものに限る。)の受益権の売主となる場合における売買の相手方に対して、その者が取得しようとしている信託の受益権に係る信託財産である宅地又は建物に関し、その売買の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。ただし、その売買の相手方の利益の保護のため支障を生ずることがない場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
法第三十五条第三項ただし書の国土交通省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三十一項に規定する特定投資家(同法第三十四条の二第五項により特定投資家以外の顧客とみなされる者を除く。)及び同法第三十四条の三第四項により特定投資家とみなされる者を信託の受益権の売買の相手方とする場合
二 信託の受益権の売買契約の締結前一年以内に売買の相手方に対し当該契約と同一の内容の契約について書面を交付して説明をしている場合
三 売買の相手方に対し金融商品取引法第二条第十項に規定する目論見書(書面を交付して説明すべき事項のすべてが記載されているものに限る。)を交付している場合 - 正しい。取引対象の物件が工事完了前であるときは、取引の種類を問わず、工事完了時の形状・構造等について必要に応じ図面を交付し、重要事項説明する必要があります(宅建業法35条1項5号)。建物の場合には形状・構造に加えて、①主要構造部、②内装・外装の構造又は仕上げ、③設備の設置・構造が説明対象です(宅建業法規則16条)。
当該宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令・内閣府令で定める事項
法第三十五条第一項第五号の国土交通省令・内閣府令で定める事項は、宅地の場合にあつては宅地の造成の工事の完了時における当該宅地に接する道路の構造及び幅員、建物の場合にあつては建築の工事の完了時における当該建物の主要構造部、内装及び外装の構造又は仕上げ並びに設備の設置及び構造とする。
- 正しい。宅地建物の貸借の取引では、敷金や保証金などの名目で賃貸人が金銭を預かることが多いので、敷金等の精算に関する事項が説明事項となっています(宅建業法規則16条の4の3第11号)

敷金その他いかなる名義をもつて授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項
- 正しい。津波防護施設区域とは、盛土構造物等の津波防護施設の敷地とそれを保全するために必要な区域で、津波防護施設管理者が指定します。津波防護施設区域内で行う一定の行為は津波防護施設管理者の許可を受ける必要があります。売買対象となる宅地建物または貸借の対象となる宅地が「津波防護施設区域内」にあるときは、法令上の制限の一つとしてこの制限の概要を説明する必要があります(宅建業法令3条1項20号の2)。
なお、重説で津波に関連するものとして「津波災害警戒区域」に位置している旨がありますが、こちらは防災上の説明なので取引の種類を問わず必要となります。
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