宅建試験過去問題 令和7年試験 問26

問26

宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)及び宅地建物取引業者B(消費税課税事業者)が受領した報酬に関するアからウの記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものを全て掲げたものは1から4のうちどれか。なお、代理、媒介に当たり、広告の依頼は行われていないものとする。
  1. Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃24万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金1,400万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されないものをいい、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、依頼者の双方からそれぞれ52万8,000円を報酬として受領したことは、宅地建物取引業法に違反する。
  2. 現に長期間にわたって居住の用、事業の用その他の用途に供されておらず、かつ将来にわたり居住の用、事業の用その他の用途に供される見込みがない宅地(1か月の借賃5万円。消費税等相当額を含まない。)について、Aは貸主から代理を依頼され、Bは借主から代理を依頼され、賃貸借契約が成立したので、Aは貸主から4万円を、Bは、代理の依頼を受けるに当たって、報酬が借賃の1.1か月分を超えることについて借主から承諾を得たうえで、借主から7万円を報酬として受領したことは、宅地建物取引業法に違反しない。
  3. Aは売主から媒介の依頼を、Bは買主から媒介の依頼をそれぞれ受けて、代金200万円(消費税等相当額を含み、土地代金は90万円である。)の土地付建物の売買契約を成立させた場合に、依頼者と宅地建物取引業者との間であらかじめ報酬の額を定めていなかったときは、売主はAに対して少なくとも10万4,500円、買主はBに対して少なくとも10万4,500円を支払わなければならない。
  1. ア、イ
  2. イ、ウ
  3. ア、ウ
  4. ア、イ、ウ

正解 4

問題難易度
肢111.4%
肢224.2%
肢319.3%
肢445.1%

解説

  1. 誤り。居住用建物以外の貸借の媒介・代理で権利金の授受がある場合、①借賃1月分+消費税、②権利金を売買代金としてみなして計算した報酬額、のいずれか高いほうが報酬の限度額となります。
    ①借賃の1か月分+消費税
    24万円×1.1=26万4,000円
    ②権利金を売買代金としてみなして計算した報酬額
    (1,400万円×3%+6万円)×1.1=52万8,000円(依頼者1人につき)
    Aは貸主・借主双方から依頼を受けているため、それぞれから52万8,000円(合計105万6,000円)を受領しても違反ではありません。
  2. 誤り。本肢の物件は「長期の空家等」に該当します。長期の空家等の媒介・代理では、依頼者から事前に承諾を得たうえで、合計で借賃の2.2か月分まで受け取れる特例があります。ただし、借主から受領する報酬は通常の上限額(借賃1.1月分、居住用の媒介で借主の承諾がない場合は0.55月分)以内である必要があるため、不足する分は貸主からの受取りとなります。
    本肢は借賃5万円/月の貸借の代理なので、Bが借主から受領できる上限は「5万円×1.1=5万5,000円」、特例適用によりAが貸主から受領できる上限は「借賃2.2月分-借主報酬分」となります。したがって、借主から7万円の報酬を受領したBが違反しています。
    長期の空家等
    媒介の依頼を受ける時点において、次のいずれかに該当する宅地建物(入居者募集を行っている賃貸集合住宅の空き室を除く)
    • 現に長期間にわたって居住の用、事業の用その他の用途に供されていないこと(1年超の居住者不在)
    • 将来にわたり居住の用、事業の用その他の用途に供される見込みがないこと(相続した空家など)
  3. 誤り。物件価格上は「低廉な空家等」に該当しますが、報酬額について依頼者の合意を得ていないので、通常の報酬計算となります。税抜き建物価格は「(200-90)万円÷1.1=100万円」、税抜き物件価格は「90万円+100万円=190万円」となり、報酬の上限額は「(190万円×5%)×1.1=10万4,500円」です。この金額はあくまでも報酬の上限額であり、具体的な報酬額は業者と依頼者との合意で決まるものなので、上限額を必ず支払う義務はありません。
したがって誤っているものは「ア、イ、ウ」です。