宅建試験過去問題 令和5年試験 問45

問45

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない買主Bに新築住宅を販売する場合に関する次の記述のうち、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. Aが信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第1条第1項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業を営むものである場合、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負わない。
  2. Aは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、当該住宅の売買契約を締結するまでに、Bに対し供託所の所在地等について、必ず書面を交付して説明しなければならず、買主の承諾を得ても書面の交付に代えて電磁的方法により提供することはできない。
  3. Aは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、当該住宅の最寄りの供託所へ住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしなければならない。
  4. AB間の売買契約において、当該住宅の構造耐力上主要な部分に瑕疵があってもAが瑕疵担保責任を負わない旨の特約があった場合においても、Aは住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。

正解 4

問題難易度
肢19.2%
肢27.1%
肢38.0%
肢475.7%

解説

  1. 誤り。信託会社や信託業務を兼営する銀行は、免許を受けなくても、国土交通大臣へ届出をすることにより宅地建物取引業者とみなされ、免許部分を除く宅建業法の規制に服します(宅建業法77条)。履行確保法においても、信託会社が宅地建物取引業を営む場合には、宅地建物取引業者としてみなして法を適用することになっています(履行確保法2条4項)。
    この法律において「宅地建物取引業者」とは、宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者をいい、信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業法第二条第二号に規定する宅地建物取引業を営むもの(第十二条第一項において「信託会社等」という。)を含むものとする。
  2. 誤り。あらかじめ買主の承諾を得ることで、書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することも認められています(履行確保法10条2項)。住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている宅地建物取引業者が、自ら売主として新築住宅の販売をする場合、当該新築住宅の売買契約を締結するまでに、買主に対して供託所の所在地等についての事項を記載した書面を交付、又は電磁的方法で提供して説明しなければなりません(履行確保法15条)。
    供託宅地建物取引業者は、自ら売主となる新築住宅の買主に対し、当該新築住宅の売買契約を締結するまでに、その住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地その他住宅販売瑕疵担保保証金に関し国土交通省令で定める事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。
    2 第十条第二項の規定は、前項の規定による書面の交付について準用する。
    供託建設業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、発注者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるものをいう。)により提供することができる。この場合において、当該供託建設業者は、当該書面を交付したものとみなす。
  3. 誤り。住宅の最寄りの供託所ではありません。住宅販売瑕疵担保保証金は、宅地建物取引業者の主たる事務所の最寄りの供託所に供託します(履行確保法11条6項)。
    第一項の規定による住宅販売瑕疵担保保証金の供託は、当該宅地建物取引業者の主たる事務所の最寄りの供託所にするものとする。
  4. [正しい]。新築住宅の売主は、引渡しから10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について担保責任を負います。この規定に反する特約で買主に不利なものは無効とされるので、瑕疵担保責任を負わない旨の特約は無効となります(品質確保法95条)。したがって、特約の有無にかかわらず、瑕疵担保責任の履行を確保するための資力確保措置を講じる必要があります(履行確保法11条1項)。
    新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵かしについて、民法第四百十五条、第五百四十一条、第五百四十二条、第五百六十二条及び第五百六十三条に規定する担保の責任を負う。
    2 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。
    宅地建物取引業者は、毎年、基準日から三週間を経過する日までの間において、当該基準日前十年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅について、当該買主に対する特定住宅販売瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。
したがって正しい記述は[4]です。