宅建試験過去問題 令和4年試験 問18

問18

次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 第一種低層住居専用地域内においては、神社、寺院、教会を建築することはできない。
  2. その敷地内に一定の空地を有し、かつ、その敷地面積が一定規模以上である建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建蔽率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの建蔽率、容積率又は各部分の高さは、その許可の範囲内において、関係規定による限度を超えるものとすることができる。
  3. 法第3章の規定が適用されるに至った際、現に建築物が立ち並んでいる幅員1.8m未満の道で、あらかじめ、建築審査会の同意を得て特定行政庁が指定したものは、同章の規定における道路とみなされる。
  4. 第一種住居地域内においては、建築物の高さは、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。

正解 3

問題難易度
肢17.1%
肢227.0%
肢347.1%
肢418.8%

解説

  1. 誤り。神社、寺院、教会は、全ての用途地域内に建築することができます。
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  2. 誤り。敷地面積に対して一定割合以上の空地を敷地内に有する場合には、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可をすれば、容積率と各種高さ制限について、許可の範囲内で法定の限度を超える建築物、つまり上に長い建築物を建築することができます(建築基準法59条の2)。しかし、建蔽率を緩和すると空地が減ってしまい本末転倒ですから、建蔽率は法定の限度を超えることはできません
    一方、敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する場合には、敷地面積にかかわらず、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可をすれば、容積率、絶対高さ制限、敷地面積の最低限度について、許可の範囲内で法定の限度を超える建築物を建築することができます。こちらも、建蔽率は法定の限度を超えることはできません。
    その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建蔽率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの容積率又は各部分の高さは、その許可の範囲内において、第五十二条第一項から第九項まで、第五十五条第一項、第五十六条又は第五十七条の二第六項の規定による限度を超えるものとすることができる。
  3. [正しい]。都市計画区域又は準都市計画区域が定められたとき、その区域内の幅員4m未満の道で、特定行政庁が指定したものは建築基準法上の道路とみなされます(建築基準法42条2項)。このとき1.8m未満の道を道路として指定する場合には、建築審査会の同意を得なければならないことになっています(建築基準法42条6項)。
    都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(同項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす。
    特定行政庁は、第二項の規定により幅員一・八メートル未満の道を指定する場合又は第三項の規定により別に水平距離を指定する場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。
    法第68条の9第1項の規定に基づく条例の制定の際、現に建築物が立ち並んでいる道は、法上の道路とみなされる。R3⑫-18-1
    都市計画区域の変更等によって法第3章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員2mの道で、特定行政庁の指定したものは、同章の規定における道路とみなされる。H30-19-3
    法が施工された時点で現に建築物が並んでいる幅員4m未満の道路は、特定行政庁の指定がなくとも法上の道路となる。H23-19-2
    法第3章の規定が適用されるに至った際、現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道路法による道路は、特定行政庁の指定がなくとも法上の道路とみなされる。H18-21-1
    幅員4m未満の道路は、建築物の敷地と道路との関係において、道路とみなされることはない。H13-21-1
  4. 誤り。絶対高さ制限が課されるのは、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域の3地域に限られます(建築基準法55条)。第一種住居地域の建築物には、この高さ制限はありません。
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    第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、建築物の高さは、十メートル又は十二メートルのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
したがって正しい記述は[3]です。