宅建試験過去問題 平成17年試験 問35
問35
宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地建物の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。なお、この問において、AとC以外の者は宅地建物取引業者でないものとする。
- Bの所有する宅地について、BとCが売買契約を締結し、所有権の移転登記がなされる前に、CはAに転売し、Aは更にDに転売した。
- Aの所有する土地付建物について、Eが賃借していたが、Aは当該土地付建物を停止条件付でFに売却した。
- Gの所有する宅地について、AはGと売買契約の予約をし、Aは当該宅地をHに転売した。
- Iの所有する宅地について、AはIと停止条件付で取得する売買契約を締結し、その条件が成就する前に当該物件についてJと売買契約を締結した。
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正解 4
問題難易度
肢111.1%
肢214.8%
肢310.6%
肢463.5%
肢214.8%
肢310.6%
肢463.5%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:9 - 8種制限
解説
宅地建物取引業者は、自ら売主として自己の所有に属しない宅地建物の売買契約を締結してはなりません。ただし、以下の3つのケースでは認められています(宅建業法33条の2)。
- 買主が宅地建物取引業者であるとき
- 売買契約等(予約はOK、停止条件付はNG)により所有権を取得できることが明らかであるとき
- 未完成物件の売買で受領する手付金等について保全措置を講じているとき
宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)を締結しているときその他宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得できることが明らかな場合で国土交通省令・内閣府令で定めるとき。
二 当該宅地又は建物の売買が第四十一条第一項に規定する売買に該当する場合で当該売買に関して同項第一号又は第二号に掲げる措置が講じられているとき。
- 違反しない。宅地建物取引業者の所有に属しない所有権移転登記が未完了の宅地建物であっても、売買契約等より所有権を取得できることが明らかである場合には、宅地建物取引業者は自ら売主となる売買契約を締結できます。
BとCの間には売買契約が成立しているので、買主Cから転売を受けたAが当該宅地の所有権を取得できることは明らかです。よって、AはDに転売することが可能です。 - 違反しない。本肢の土地付建物は他人物ではなく宅地建物取引業者が所有している物件なので、Aは自ら売主となって停止条件付きの売買契約を締結できます。
- 違反しない。売買契約により所有権を取得できることが明らかであれば、宅地建物取引業者が自ら売主となり、他人物を売買の目的物とする契約を締結できます。この売買契約には売買の予約も含まれるのでHへの転売は有効です。
なぜ予約がOKかというと、予約の場合、予約者(宅地建物取引業者)が意思表示をしさえすれば契約の効力を生じるので、当該物件を取得できることが確実だからです。 - [違反する]。他人から宅地建物の所有権を取得する契約が停止条件付であるときは、取得できるかどうかは条件の成就により確実であるとは言えないので、成就前に自ら売主となる売買契約を締結することができません。
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