土地区画整理法(全27問中26問目)

No.26

土地区画整理法における土地区画整理事業に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成13年試験 問22
  1. 施行者が、道路法にいう道路の用に供する土地を、道路管理者の了解を得ることなく造成した場合でも、当該道路管理者は、施行者に対して、その造成費用の全部を支払わなければならない。
  2. 施行者は、仮換地の指定を行うに当たっては、従前の宅地について抵当権を有する者に対して、仮換地について仮にその目的となるべき宅地又はその部分を指定しなければならない。
  3. 換地処分があった場合、従前の宅地に存した未登記及び未申告の借地権は、その公告があった日が終了した時において消滅し、従前の宅地とみなされる換地について存続することはない。
  4. 土地区画整理組合が成立した場合において、施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者はすべて組合員となるが、施行地区内の借家人は組合員とはならない。

正解 4

問題難易度
肢15.8%
肢225.4%
肢319.6%
肢449.2%

解説

  1. 誤り。土地区画整理事業で幹線道路その他の重要な公共施設を新設・変更する場合は、その公共施設の管理者に費用負担を求めることができます。この費用負担を求める場合には公共施設管理者との協議の上で、負担額、負担方法を事業計画に定めておく必要があります(土地区画整理法120条)。
    了解なく道路を造成して、その費用を全額払えというのは道路管理者にとって酷ですので、必ずしも費用全額の支払いが義務となるわけではありません。
    都市計画において定められた幹線街路その他の重要な公共施設で政令で定めるものの用に供する土地の造成を主たる目的とする土地区画整理事業を施行する場合においては、施行者は、他の法律の規定に基づき当該公共施設の新設又は変更に関する事業を行うべき者(以下本条において「公共施設管理者」という。)に対し、当該公共施設の用に供する土地の取得に要すべき費用の額の範囲内において、政令で定めるところにより、その土地区画整理事業に要する費用の全部又は一部を負担することを求めることができる。
    2 施行者は、前項の規定により公共施設管理者に対し、土地区画整理事業に要する費用の全部又は一部を負担することを求めようとする場合においては、あらかじめ、当該公共施設管理者と協議し、その者が負担すべき費用の額及び負担の方法を事業計画において定めておかなければならない。
  2. 誤り。従前の宅地について地上権、永小作権、賃借権等の使用収益できる者がいる場合、仮換地の指定を行うに当たって、仮換地について仮にその目的となるべき宅地またはその部分を指定しなければなりません。抵当権者は使用収益できる者に該当しないのでこの限りではありません(土地区画整理法98条1項)。
    施行者は、換地処分を行う前において、土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合又は換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。この場合において、従前の宅地について地上権、永小作権、賃借権その他の宅地を使用し、又は収益することができる権利を有する者があるときは、その仮換地について仮にそれらの権利の目的となるべき宅地又はその部分を指定しなければならない。
    施行者は、換地処分を行う前において、換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。H28-21-1
    個人施行者は、換地処分を行う前において、換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。H23-21-4
    土地区画整理事業の施行者は、換地処分を行う前において、換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。H21-21-1
  3. 誤り。従前の宅地について所有権以外の未登記の権利を有する者は、原則として施行者に申告する義務があります(土地区画整理法85条1項)。そして、個人施行者以外の施行者は、この申告がなかった権利を存在しないものとして換地計画を立てることができます。換地計画において換地を定めなかった従前の宅地について存する権利は、その換地処分の公告があった日が終了した時において消滅するという規定があるので、未登記・未申告の権利は換地処分の公示により消えてしまうように読み取れます(土地区画整理法104条2項)。
    しかし、判例では上記規定の「換地計画において換地を定めなかった従前の宅地について存する権利」が所有者の同意により換地を定めない場合等に限定されるという考えに基づき、従前の宅地に存した賃借権(借地権)については、未登記・未申告であっても従前の宅地とみなされる換地について存続すると判断しています(最判昭52.1.20)。
    土地区画整理法による換地処分がされた場合、従前の土地に存在した未登記賃借権は、これについて同法八五条の権利申告がされていないときでも、換地上に移行して存続する。
  4. [正しい]。土地区画整理組合の組合員となるのは、施行地区内の宅地について所有権・借地権を有する者すべてです。借地人は組合員になりますが、借家人は土地の権利と関係ないので組合員となりません(土地区画整理法25条1項)。
    組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする。
    土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について借地権のみを有する者は、その土地区画整理組合の組合員とはならない。R3⑫-20-1
    組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について借地権のみを有する者は、その組合の組合員とはならない。H29-21-4
    土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする。H24-21-4
    組合施行の土地区画整理事業において、施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員となるので、当該宅地について事業施工中に組合員から所有権を取得した者は、当該組合の組合員となる。H16-22-4
したがって正しい記述は[4]です。