家族法(全31問中3問目)

No.3

相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
令和4年試験 問2
  1. 被相続人の生前においては、相続人は、家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分を放棄することができる。
  2. 家庭裁判所への相続放棄の申述は、被相続人の生前には行うことができない。
  3. 相続人が遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けると、当該相続人は、被相続人の遺産を相続する権利を失う。
  4. 相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合、当該相続人には遺留分がない。

正解 3

問題難易度
肢118.0%
肢222.0%
肢345.9%
肢414.1%

解説

  1. 正しい。相続開始前は、家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分を放棄することができます。なお、相続開始後の遺留分放棄は自由にできます(民法1049条1項)。
    相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
    Bが、Aの死亡の前に、A及びCに対して直接、書面で遺留分を放棄する意思表示をしたときは、その意思表示は有効である。H20-12-2
  2. 正しい。相続を放棄するには、相続開始があったことを知った時から原則3カ月以内に家庭裁判所に申し出ることが要件となっています(民法915条1項)。被相続人の生前における相続放棄は、上記の要件を満たさないので効力を有しません。
    相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
    相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月(家庭裁判所が期間の伸長をした場合は当該期間)以内に、限定承認又は放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる。H14-12-3
  3. [誤り]。遺留分の放棄は、遺留分侵害額請求を行使する権利を放棄することを意味し、相続の放棄とは別個です。したがって、遺留分の放棄をしても相続人として財産を相続することはできます。
  4. 正しい。遺留分が認められるのは、法定相続人である配偶者・子・直系尊属に限られており、兄弟姉妹には遺留分が認められていません(民法1042条1項)。兄弟姉妹は、被相続人と住居及び生計を別にしていることが多く、相続により財産を取得できなかったために生活が困窮することは少ないと考えられるからです。
    兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
    Aが「相続財産全部をBに相続させる」旨の有効な遺言をして死亡した場合、BがAの配偶者でCがAの子であるときはCには相続財産の4分の1の遺留分があるのに対し、B及びCがAの兄弟であるときはCには遺留分がない。H18-12-2
したがって誤っている記述は[3]です。