家族法(全31問中4問目)

No.4

辞任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
  1. 委任によって代理権を授与された者は、報酬を受ける約束をしている場合であっても、いつでも委任契約を解除して代理権を消滅させて、代理人を辞することができる。
  2. 親権者は、やむを得ない事由があるときは、法務局に届出を行うことによって、親権を辞することができる。
  3. 後見人は、正当な事由があるときは、後見監督人の許可を得て、その任務を辞することができる。
  4. 遺言執行者は、正当な事由があるときは、相続人の許可を得て、その任務を辞することができる。
令和4年試験 問9
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 1

問題難易度
肢139.6%
肢233.4%
肢321.0%
肢46.0%

解説

  1. 正しい。委任は、各当事者がいつでも解除をすることができます(民法651条1項)。委任契約はお互いの信頼関係を基礎としているので、信頼関係がなくなった後も無理やり継続させるのは無意味だからです。例えば、宅地建物取引業者に媒介契約を委任していて、信用できない業者だったときには直ぐに解約できます。ただし、相手方に不利な時期に解除したときや、委任者が受任者の利益をも目的とする委任を解除したときには、やむを得ないときを除き、相手方の損害を賠償しなければなりません。
    委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
    委任はいつでも解除することができるから、有償の合意があり、売買契約成立寸前にAが理由なく解除してBに不利益を与えたときでも、BはAに対して損害賠償を請求することはできない。H14-10-4
  2. 誤り。親権者は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができます(民法837条1項)。
    親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。
  3. 誤り。後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、辞任することができます。選任も家庭裁判所によって行われるので、辞任にも家庭裁判所の許可が必要です(民法844条)。
    後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
  4. 誤り。遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、辞任することができます(民法1019条2項)。
    遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
したがって正しいものは「一つ」です。