家族法(全31問中2問目)

No.2

甲建物を所有するAが死亡し、Aの配偶者Bが甲建物の配偶者居住権を、Aの子Cが甲建物の所有権をそれぞれ取得する旨の遺産分割協議が成立した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
令和5年試験 問7
  1. 遺産分割協議において、Bの配偶者居住権の存続期間が定められなかった場合、配偶者居住権の存続期間は20年となる。
  2. Bが高齢となり、バリアフリーのマンションに転居するための資金が必要になった場合、Bは、Cの承諾を得ずに甲建物を第三者Dに賃貸することができる。
  3. Cには、Bに対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務がある。
  4. Cは、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。

正解 3

問題難易度
肢118.7%
肢28.7%
肢345.5%
肢427.1%

解説

  1. 誤り。配偶者居住権の存続期間は、原則として終身の間です。ただし、遺産分割協議で存続期間を定めた場合にはその期間とされます(民法1030条)。本肢では遺産分割協議で定めがなかったので、終身の間となります。
    【参考】
    配偶者居住権は、残された配偶者が、被相続人が所有していた建物に居住していた場合に、終身又は一定の期間、その建物に無償で居住することができる権利です。
    配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。
    遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた場合、存続期間が満了した時点で配偶者居住権は消滅し、配偶者居住権の延長や更新はできない。R3⑩-4-1
  2. 誤り。所有者Cの承諾がなければ、第三者Dに賃貸することはできません。配偶者は、建物の所有者の承諾を得なければ、建物の改築・増築をしたり、第三者に使用収益をさせたりすることができないからです(民法1032条3項)。
    配偶者居住権により建物に居住している状態は、所有者から建物を借りている状態と言えるので、賃借権に準じた権利義務が定められています。
    配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
    Bは、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。R3⑩-4-2
  3. [正しい]。配偶者居住権は賃借権と同様に、登記をしなければ第三者に対抗することができません(民法1031条2項民法605条)。建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対し、登記を備えさせる義務を負います(民法1031条1項)。
    第六百五条の規定は配偶者居住権について、第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。
    不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
    居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
    Bが配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。R3⑩-4-4
  4. 誤り。必要費を負担するのは配偶者であるBです。配偶者居住権の目的となっている建物については、必要費(固定資産税や通常の修繕費)は配偶者の負担、それ以外の費用は建物所有者の負担となります(民法1034条)。
    配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
    2 第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。
したがって正しい記述は[3]です。