制限行為能力者(全10問中6問目)

No.6

後見人制度に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
平成26年試験 問9
  1. 成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした場合には、成年後見人は、当該法律行為を取り消すことができない。
  2. 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する場合には、家庭裁判所の許可を要しない。
  3. 未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。
  4. 成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。

正解 4

問題難易度
肢111.0%
肢26.6%
肢38.7%
肢473.7%

解説

  1. 誤り。成年被後見人が第三者との間でした契約は、日用品購入等の行為を除き、成年後見人が取り消すことができます(民法9条)。法律行為の内容に限定はないので、建物の贈与契約も取り消すことができます。
    成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
    成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。H20-1-1
    成年被後見人が成年後見人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合、成年後見人は、当該意思表示を取り消すことができる。H15-1-3
  2. 誤り。成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人の住居について、①売却、②賃貸、③賃貸借の解除、④抵当権の設定などをする場合、家庭裁判所の許可が必要となります(民法859条の3)。
    成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
    成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する際、後見監督人がいる場合には、後見監督人の許可があれば足り、家庭裁判所の許可は不要である。H28-2-3
    成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却するためには家庭裁判所の許可が必要である。H22-1-2
  3. 誤り。未成年後見人は、親権者に代わり未成年者を保護する者です。未成年者が、判断能力が欠けているのが常況である場合、未成年者を保護する立場である未成年後見人は、後見開始の審判を請求することができます(民法7条)。
    精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
    Aが精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況になった場合、B及びCはAの法定代理人となり甲土地を第三者に売却することができる。H18-12-1
  4. [正しい]。成年後見人は家庭裁判所に選任された者(民法843条1項)ですが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限りません。未成年後見人の選任の原則は、最後の親権者が遺言で指定することであり、家庭裁判所による選任はその指定がない場合や必要に応じて行うことになっています(民法839条1項民法840条1項)。
    家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。
    未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。
    前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする。
したがって正しい記述は[4]です。