民法の規定及び判例(財産法) (全183問中5問目)

No.5

Aは、隣人Bの留守中に台風が接近して、屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した。この場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
出典:平成30年試験 問5
  1. Aは、Bに対して、特段の事情がない限り、B宅の屋根を修理したことについて報酬を請求することができない。
  2. Aは、Bからの請求があったときには、いつでも、本件事務処理の状況をBに報告しなければならない。
  3. Aは、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理しなければならない。
  4. AによるB宅の屋根の修理が、Bの意思に反することなく行われた場合、AはBに対し、Aが支出した有益な費用全額の償還を請求することができる。

正解 3

解説

  1. 正しい。義務なく他人のために事務の管理を行うことを「事務管理」といいます。原則として事務管理は無償ですので、AはBに対して報酬を請求することはできません。
  2. 正しい。事務管理をおこなったもの(A)は、本人(B)からの請求があった場合、いつでも事務処理の状況を報告しなければいけません(民法701条民法645条)。
    第六百四十五条から第六百四十七条までの規定は、事務管理について準用する。
    受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
  3. [誤り]。事務管理者は、事務管理を行うにあたって悪意又は重大な過失がある場合のみ損害を賠償する責任を負います(民法698条)。委任のように善管注意義務を負うわけではありません。
    管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
  4. 正しい。事務管理が本人の意思に反することなくを行われた場合、事務管理者(A)は本人(B)に対して支出した有益費全額を請求することができます(民法702条1項)。
    管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
したがって誤っている記述は[3]です。