制限行為能力者(全10問中5問目)

No.5

制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
平成28年試験 問2
  1. 古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。
  2. 被保佐人が、不動産を売却する場合には、保佐人の同意が必要であるが、贈与の申し出を拒絶する場合には、保佐人の同意は不要である。
  3. 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する際、後見監督人がいる場合には、後見監督人の許可があれば足り、家庭裁判所の許可は不要である。
  4. 被補助人が、補助人の同意を得なければならない行為について、同意を得ていないにもかかわらず、詐術を用いて相手方に補助人の同意を得たと信じさせていたときは、被補助人は当該行為を取り消すことができない。

正解 4

問題難易度
肢18.7%
肢210.4%
肢37.9%
肢473.0%

解説

  1. 誤り。本肢の未成年者は古着の仕入販売に関する営業については成年とみなされます(民法6条1項)。しかし、自己が居住するために建物を第三者から購入することは、古着の仕入れ販売に関する営業に含まれません。よって、法定代理人は当該売買契約を取り消すことが可能です。
    一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
    営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。R3⑩-5-3
    営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。H25-2-2
  2. 誤り。被保佐人の権利や財産を守るため、被保佐人が財産上の重要な行為をする際には、保佐人の同意を得なければなりません。贈与の申込みを拒絶することは被保佐人の財産に不利益となるおそれがあるため、保佐人の同意が必要な行為とされています(民法13条1項7号)。
    被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。

    七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
    被保佐人については、不動産を売却する場合だけではなく、日用品を購入する場合も、保佐人の同意が必要である。H22-1-3
    被保佐人が、保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした土地の売却は、被保佐人が行為能力者であることを相手方に信じさせるため詐術を用いたときであっても、取り消すことができる。H20-1-4
    買主Bが被保佐人であり、保佐人の同意を得ずにAとの間で売買契約を締結した場合、当該売買契約は当初から無効である。H17-1-1
    被保佐人が保佐人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合、保佐人は、当該意思表示を取り消すことができる。H15-1-4
  3. 誤り。成年後見人が、成年被後見人に代わりその居住の用に供する建物等を売却するには、家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法859条の3)。また、これは後見監督人の許可では足りません(民法852条)。
    成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
    成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する場合には、家庭裁判所の許可を要しない。H26-9-2
    成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却するためには家庭裁判所の許可が必要である。H22-1-2
  4. [正しい]。詐術を用いて相手方に補助人の同意を得たと信じさせていたときは、被補助人は当該行為を取り消すことができません(民法21条)。
    制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
    買主である未成年者Eが土地の購入につき法定代理人の同意を得ていると嘘をつき、Aがそれを信じて契約締結した場合であっても、Eは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。H17-1-4
したがって正しい記述は[4]です。