条件・期間・時効(全17問中11問目)

No.11

Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間でB所有の乙不動産を2,000万円で購入する売買契約を締結した。条件成就に関する特段の定めはしなかった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
平成23年試験 問2
  1. 乙不動産が値上がりしたために、Aに乙不動産を契約どおり売却したくなくなったBが、甲不動産の売却を故意に妨げたときは、Aは停止条件が成就したものとみなしてBにAB間の売買契約の履行を求めることができる。
  2. 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時から効力が生ずるだけで、停止条件の成否が未定である間は、相続することはできない。
  3. 停止条件の成否が未定である間に、Bが乙不動産を第三者に売却し移転登記を行い、Aに対する売主としての債務を履行不能とした場合でも、停止条件が成就する前の時点の行為であれば、BはAに対し損害賠償責任を負わない。
  4. 停止条件が成就しなかった場合で、かつ、そのことにつきAの責に帰すべき事由がないときでも、AはBに対し売買契約に基づき買主としての債務不履行責任を負う。

正解 1

問題難易度
肢175.8%
肢28.1%
肢39.4%
肢46.7%

解説

  1. [正しい]。条件の成就によって不利益を受ける者が、故意に条件の成就を妨げた場合、相手方はその条件が成就したものとみなすことが可能です(民法130条)。
    よって、AはBに対して売買契約の履行を求めることができます。
    条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
    Bがあっせんした買主Cとの間でAが当該山林の売買契約を締結しても、売買代金が支払われる前にAが第三者Dとの間で当該山林の売買契約を締結して履行してしまえば、Bの報酬請求権は効力を生ずることはない。H18-3-2
  2. 誤り。停止条件付法律行為の条件について成否が未定である間であっても、当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分・相続等をすることができます(民法129条)。
    条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。
    当該山林の売買契約が締結されていない時点であっても、Bは停止条件付きの報酬請求権を第三者Fに譲渡することができる。H18-3-4
    令和6年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間に、Aが死亡して相続が開始された場合、契約の効力が生じていないので、Aの相続人は、この売買契約の買主たる地位を相続することができない。H15-2-3
  3. 誤り。条件付法律行為の当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができません(民法128条)。Bが乙不動産を第三者に売却し移転登記をする行為は、Aの利益を害する行為ですので、BはAに対して損害賠償責任を負います。
    条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。
    本件約定の後、Aの放火により甲建物が滅失し、その後にBが本件試験に合格した場合、AはBに対して損害賠償責任を負う。H30-3-2
    Aが、A所有の不動産の売買代金の受領を拒否して、故意に停止条件の成就を妨げた場合、Bは、その停止条件が成就したものとみなすことができる。H15-2-4
  4. 誤り。停止条件付契約の効力は停止条件が成就したときに生じるので、停止条件が成就する前は引渡し債務・代金支払債務は生じていません。Aは停止条件の成就を妨げたということでもないので、買主としての債務不履行責任も負うこともありません。
したがって正しい記述は[1]です。