条件・期間・時効 (全14問中12問目)

No.12

Aが有する権利の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
平成17年試験 問4
  1. Aが有する所有権は、取得のときから20年間行使しなかった場合、時効により消滅する。
  2. AのBに対する債権を被担保債権として、AがB所有の土地に抵当権を有している場合、被担保債権が時効により消滅するか否かにかかわらず、設定時から10年が経過すれば、抵当権はBに対しては時効により消滅する。
  3. AのCに対する債権が、CのAに対する債権と相殺できる状態であったにもかかわらず、Aが相殺することなく放置していたためにAのCに対する債権が時効により消滅した場合、Aは相殺することはできない。
  4. AのDに対する債権について、Dが消滅時効の完成後にAに対して債務を承認した場合には、Dが時効完成の事実を知らなかったとしても、Dは完成した消滅時効を援用することはできない。

正解 4

問題難易度
肢18.6%
肢23.9%
肢318.7%
肢468.8%

解説

  1. 誤り。所有権が消滅時効にかかることはありません(民法166条2項)。
    債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
  2. 誤り。抵当権は単体では存在せず、被担保債権が存在することを前提として存在します(付従性)。この性質より、被担保債権が消滅すると当然に抵当権も消滅します(民法396条)。
    抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
  3. 誤り。債権が時効により消滅したとしても、時効消滅前に相殺適状にあった場合は相殺することができます(民法508条)。よって、Aは相殺できます。
    時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。
  4. [正しい]。一度債務を承認した場合、当該承認を撤回することは信義誠実の原則に反し、許されません。判例では、消滅時効完成後に債務の承認をしたときには、消滅時効の事実を知らなかった場合でも、当該承認を撤回し、時効を援用することはできないとしています(最判昭41.4.20
    債務者が、消滅時効完成後に債権者に対し当該債務の承認をした場合には、時効完成の事実を知らなかつたときでも、その後その時効の援用をすることは許されないと解すべきである。
したがって正しい記述は[4]です。