宅建試験過去問題 令和7年試験 問18

問18

次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 都市再生特別地区内においては、建築物の容積率、建蔽率及び建築面積は当該地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならないが、その高さは法第56条の高さの制限に関する規定に適合させる必要がある。
  2. 2階建てかつ床面積1,000㎡の飲食店は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、工業専用地域及び田園住居地域に建築することができない。
  3. 特定行政庁による認可を受けて公告された建築協定は、その後、当該協定の土地の所有者等の全員で合意したときに限り、その公告のあった日以後において当該建築協定区域内の土地の所有者等となった者に対しても効力が及ぶこととなる。
  4. 建築物のエネルギー消費性能の向上のため必要な外壁等に関する工事を行う場合、公益性が高いことから特定行政庁の許可を受けることなく、法第52条の規定による容積率の限度を超えることができる。

正解 2

問題難易度
肢121.1%
肢243.1%
肢327.7%
肢48.1%

解説

  1. 誤り。都市再生特別地区内では、建築基準法の高さの制限も適用除外となります。
    都市再生特別地区は、都市再生緊急整備地域内において、都市の再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図る特別の用途、容積、高さ、配列等の建築物の建築を誘導するために指定される区域です(都市再生法36条1項)。都市再生特別地区内の建築物は、既存の用途地域による用途・容積率・各種斜線制限の規制を適用除外としたうえで、都市計画で定められた内容への適合が求められます(建築基準法60条の2)。
    大阪の「あべのハルカス」や「グランフロント大阪」、東京の「東京ポートシティ竹芝」、そして現在建設中の「TOKYO TORCH」は、都市再生特別地区を活用した代表的な開発プロジェクトとして知られています。
    【補足】
    都市再生緊急整備地域内は、都市の再生の拠点として、都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域として、都市再生特別措置法に基づき指定される地域です。
    都市再生特別地区内においては、建築物の容積率及び建蔽率、建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それぞれの建築面積)並びに建築物の高さは、都市再生特別地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
  2. [正しい]。飲食店を含む店舗の用途制限は下表のとおりです。2階建て・床面積1,000㎡の飲食店は、低層3地域(一低・二低・田園)と一種中高層、工業専用地域には建築することはできません。ただし、特定行政庁の許可があれば別です。
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  3. 誤り。建築協定は、認可を受けて公告されると、その区域内で後から土地を取得した人にも効力が及びます(建築基準法75条)。認可申請の段階では全員の合意が必要ですが、その後に土地所有者の合意は必要ありません。
    第七十三条第二項又はこれを準用する第七十四条第二項の規定による認可の公告(次条において「建築協定の認可等の公告」という。)のあつた建築協定は、その公告のあつた日以後において当該建築協定区域内の土地の所有者等となつた者(当該建築協定について第七十条第三項又はこれを準用する第七十四条第二項の規定による合意をしなかつた者の有する土地の所有権を承継した者を除く。)に対しても、その効力があるものとする。
    認可の公告のあった建築協定は、その公告のあった日以後に協定の目的となっている土地の所有権を取得した者に対しても、効力がある。H21-19-2
  4. 誤り。特定行政庁の許可が必要です。建築物のエネルギー消費性能の向上のため必要な外壁等に関する工事を行う場合には、特定行政庁の許可を受けることで、その許可の範囲内において容積率の制限を超えて建築することができます。次の3つが対象工事とされています(建築基準法52条14項3号)。
    1. 外断熱のための外壁設置
    2. 日射遮蔽のための軒やひさしの設置
    3. 太陽光パネルなど再生可能エネルギー源の利用に資する設備の外壁への設置
    次の各号のいずれかに該当する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率は、第一項から第九項までの規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。

    三 建築物のエネルギー消費性能(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成二十七年法律第五十三号)第二条第一項第二号に規定するエネルギー消費性能をいう。次条第五項第四号において同じ。)の向上のため必要な外壁に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるもの
したがって正しい記述は[2]です。