宅建試験過去問題 令和3年12月試験 問2
問2
相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。- 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。
- 隣接する土地の境界線上に設けた障壁は、相隣者の共有に属するものと推定される。
- 高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすためであっても、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることはできない。
- 土地の所有者が直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根を設けた場合、隣地所有者は、その所有権に基づいて妨害排除又は予防の請求をすることができる。
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正解 3
問題難易度
肢15.1%
肢211.4%
肢374.3%
肢49.2%
肢211.4%
肢374.3%
肢49.2%
分野
科目:1 - 権利関係細目:5 - 所有権・共有・占有権・用益物権
解説
- 正しい。境界標とは、点、矢印、十字、T字で、現地上の境界の点や線の位置を示すための標識です。測量に基づいて設置されます。土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができます(民法223条)。別段の定めのない限り、境界標の設置・保存費用は両者が等しい割合で負担し、測量の費用は土地の面積に応じて負担することになっています(民法224条)。
土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。
境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。
土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用をもって、境界を表示すべき物を設置することができる。(H16-7-2) - 正しい。土地の境界線上にある境界標、囲障(塀や柵のこと)、障壁、溝及び堀の所有について特に取り決めがない場合は、相隣者の共有に属するものと推定されます(民法229条)。元々の所有者がわからなくなっている場合にはこの規定の出番です。
境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。
- [誤り]。高地の所有者は、①その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、②自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、低地のために最も損害の少ない場所及び方法を選び、低地に水を通過させることができます(民法220条)。本規定は、土地の所有者が、浸水地を乾かし、又は余水を排出することは、当該土地を利用する上で基本的な利益に属することから、高地の所有者にこのような目的による低い土地への通水を認めたものです。
高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。
- 正しい。隣地に直接に雨水を注ぐ構造の屋根を設けることは禁止されています(民法218条)。このような屋根を設けることは土地所有権の侵害行為に当たるので、隣地所有者は所有権に基づき、妨害排除請求または妨害予防請求をすることができます。具体的には雨樋の設置などを求めることになるでしょう。
土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。
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