宅建試験過去問題 平成29年試験 問14

問14

不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  1. 建物の名称があるときは、その名称も当該建物の表示に関する登記の登記事項となる。
  2. 地上権の設定の登記をする場合において、地上権の存続期間の定めがあるときは、その定めも登記事項となる。
  3. 賃借権の設定の登記をする場合において、敷金があるときであっても、その旨は登記事項とならない。
  4. 事業用定期借地権として借地借家法第23条第1項の定めのある賃借権の設定の登記をする場合、その定めも登記事項となる。

正解 3

問題難易度
肢113.1%
肢27.1%
肢368.9%
肢410.9%

解説

  1. 正しい。建物の表示に関する登記事項は、①所在地と地番、②家屋番号、③種類・構造・床面積、④名称、⑤付属建物の①③の情報、⑥共用部分である旨、区分建物であるときの追加事項として、⑦一棟の建物の構造・床面積、⑧一棟の建物の名称、⑨敷地権の9つです(④⑤⑥⑧⑨はあるときに限る)。
    よって、建物の名称があるときは、その名称が建物の表示に関する登記事項となります(不動産登記法44条1項3号)。
    区分建物が規約による共用部分である旨の登記は、当該区分建物の登記用紙の表題部にされる。H13-14-3
  2. 正しい。地上権の設定登記においては、権利に関する登記の共通事項に加えて、①地上権設定の目的、②地代・支払時期の定め、③存続期間又は定期借地権の定め、④事業用建物の所有を目的とする場合はその旨、⑤空間地上権・地下地上権であるときはその範囲等が登記事項となります(②③⑤は定めがあるときに限る)。
    よって、地上権について存続期間の定めがあるときは、その定めが登記事項となります(不動産登記法78条3号)
    事業用定期借地権として借地借家法第23条第1項の定めのある賃借権の設定の登記をする場合、その定めも登記事項となる。H29-14-4
  3. [誤り]。賃借権の設定登記においては、権利に関する登記の共通事項に加えて、①賃料、②存続期間・賃料支払時期の定め、③賃借権の譲渡又は転貸を許すときはその定め、④敷金がある旨、⑤賃貸人が財産の処分につき制限行為能力者である旨、⑥建物の所有を目的とする土地の賃貸借の場合はその旨、⑦事業用建物の所有を目的とする土地の賃貸借の場合はその旨、⑧定期借地権・定期建物賃貸借・終身建物賃貸借であるときはその定めが登記事項となります(②③④⑧は定めがあるときに限る)。
    よって、賃借権の設定登記において敷金があるとき、その旨は登記事項となります(不動産登記法81条4号)。
  4. 正しい。事業用定期借地権を設定する地上権又は土地の賃借権の登記では、事業定期借地権である旨が登記事項となります(不動産登記法78条4号、不動産登記法81条7号)。事業用定期借地権の適用がある(この土地には事業用建物しか建築できない)ことを周知させることを目的とする規定です。
    地上権の設定の登記をする場合において、地上権の存続期間の定めがあるときは、その定めも登記事項となる。H29-14-2
したがって誤っている記述は[3]です。