宅建試験過去問題 平成17年試験 問12(改題)
問12
遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。- 自筆証書による遺言をする場合、証人二人以上の立会いが必要である。
- 自筆証書による遺言書を自宅に保管している者が、相続の開始後、これを家庭裁判所に提出してその検認を経ることを怠り、そのままその遺言が執行された場合、その遺言書の効力は失われる。
- 適法な遺言をした者が、その後更に適法な遺言をした場合、前の遺言のうち後の遺言と抵触する部分は、後の遺言により取り消したものとみなされる。
- 法定相続人が配偶者Aと子Bだけである場合、Aに全財産を相続させるとの適法な遺言がなされた場合、Bは遺留分権利者とならない。
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正解 3
問題難易度
肢111.1%
肢27.0%
肢373.1%
肢48.8%
肢27.0%
肢373.1%
肢48.8%
分野
科目:A - 権利関係細目:13 - 家族法
解説
- 誤り。自筆証書遺言は、財産目録部分を除き、遺言者が全文、日付、氏名を自書し、これに押印して作成するもので、作成に当たり証人の立会いは必要ありません(民法968条)。作成時に証人2人以上の立会いが必要なのは公正証書遺言です(民法969条)。
- 誤り。自筆証書遺言の保管者や発見者は、相続開始後、遅滞なく家庭裁判所に遺言書の検認を請求しなければなりません(民法1004条1項)。検認手続きを怠った場合には5万円以下の過料に処されますが、検認を経ないで遺言書の内容が執行されたとしても無効となるわけではありません(判例)。
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
- [正しい]。遺言をした者が、その後さらに遺言をした場合、前の遺言と抵触する部分は、後の遺言により撤回(取消し)したものとみなされます(民法1023条1項)。たとえば、前の遺言で「甲土地をAに相続させる」としていたのに、後の遺言で「甲土地をBに相続させる」とあった場合、2つは両立しえないので、前の遺言の内容のうちその抵触する部分は撤回したことになります。
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
- 誤り。相続させる旨の遺言があった場合、特段の市場がない限り、遺言者が遺産の分割方法を指定したものと解されます。遺留分は、遺族の生活保障を考慮して、相続財産の一定割合を一定範囲の相続人に残す制度ですから、遺留分を侵害する相続させる旨の遺言があったときでも権利の行使は妨げられません(最判平3.4.19)。このケースでは、全財産の2分の1が遺留分全体となり、これにBに法定相続分を乗じた4分の1がBの遺留分となります。
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