宅建試験過去問題 平成20年試験 問7(改題)
問7
注意義務に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。- ある物を借り受けた者は、無償で借り受けた場合も、賃料を支払う約束で借り受けた場合も、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
- 委託の受任者は、報酬を受けて受任する場合も、無報酬で受任する場合も、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。
- 商人ではない受寄者は、報酬を受けて寄託を受ける場合も、無報酬で寄託を受ける場合も、自己の財産と同一の注意をもって寄託物を保管する義務を負う。
- 相続人は、相続放棄前はもちろん、相続放棄した場合も、相続放棄の時に現に相続財産を占有しているときは、相続人又は相続財産の清算人に引き渡すまでの間、固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産を保存しなければならない。
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正解 3
問題難易度
肢110.5%
肢210.5%
肢358.5%
肢420.5%
肢210.5%
肢358.5%
肢420.5%
分野
科目:1 - 権利関係細目:10 - その他の契約
解説
- 正しい。使用貸借および賃貸借のいずれも、最終的には借りた物を返す義務がありますから、借主は善管注意義務をもって借りた物を保存しなければなりません(民法400条)。
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
- 正しい。委託の受任者は、有償・無償を問わず善管注意義務を負います(民法644条)。
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。(R2⑩-5-2) - [誤り]。相手方から物を預かる契約を「寄託契約」といいます。寄託者は物を預ける側、受寄者は物を受け取る側です。
無償による受寄者は、自己の財産と同一の注意をもって寄託物を保管すれば足りますが、有償による受寄者は、特定物の引渡しに関する原則である民法400条が適用されるため、寄託物について善管注意義務を負うこととなります(民法659条民法400条)。無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
- 正しい。相続人は、自己の固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産を管理しなければなりません。また、相続の放棄をした者も、相続放棄時に相続財産を現に占有している場合には、相続人又は清算人に引き渡すまでは、自己の固有財産と同じ注意をもって保存しなければなりません(民法918条民法940条1項)。
相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
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