宅建試験過去問題 平成13年試験 問47

問47

宅地建物取引業者Aが行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. Aは、建物の売買の媒介を依頼されたところ、当該建物は工事完成後10カ月が経過しているものの未使用であったので、当該物件を新築物件として販売広告してもよい。
  2. Aは、駅から160mの距離にある宅地を、代理により売却するに当たり、「駅より徒歩2分、立地条件は万全です。」と販売広告してもよい。
  3. Aは、自社所有の10区画の宅地の販売に当たり、インターネットを利用する方法で1カ月を販売期間とする旨の広告をしたところ、販売開始1週間で8区画を売却したが、販売期間中の表示の一貫性を考慮し表示の更新は行わなくてもよい。
  4. Aは、工事中の建物をインターネットを利用する方法で販売広告するに当たり、他の建物の写真であっても当該建物と外観が類似するものであれば、他の建物の写真である旨明示することなく使用してもよい。

正解 1

問題難易度
肢178.3%
肢214.3%
肢35.7%
肢41.7%

解説

  1. [正しい]。「新築」と表示するには、その物件が、建築完了後1年未満であって、居住の用に供されたことがないという意味で用いる必要があります。本肢の建物は、未使用かつ工事完成後10か月ですので、新築として表示することができます(表示規約18条1項(1))。
    新築 建築工事完了後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう。
    分譲住宅について、住宅の購入者から買い取って再度販売する場合、当該住宅が建築完了後1年未満で居住の用に供されたことがないものであるときは、広告に「新築」と表示しても、不当表示に問われることはない。R1-47-4
    完成後8か月しか経過していない分譲住宅については、入居の有無にかかわらず新築分譲住宅と表示してもよい。H25-47-4
    マンションの広告を行う場合、当該マンションが建築工事完了後2年経過していたとしても、居住の用に供されたことがなければ「新築分譲マンション」と表示することができる。H19-47-2
  2. 誤り。2つの点で問題となる可能性があります。
    まず、「万全」「完全」「完璧」「絶対」といった欠陥や手落ちが全くないことを意味する用語は、それを裏付ける合理的な証拠があるとき以外は使うことができません。立地条件について「万全」というのは主観的な見方であり、合理的・客観的な証拠を用意することはできないと考えられるので不当表示に該当します(表示規約18条2項(1))。
    次に、本肢の「距離」が「直線距離」なのか「道路距離」なのかはっきりしませんが、もし、直線距離を基準に2分としているのならば不当表示に該当します(公正競争規規則9条(9))。
    物件の形質その他の内容又は役務の内容について、「完全」、「完ぺき」、「絶対」、「万全」等、全く欠けるところがないこと又は全く手落ちがないことを意味する用語
    徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること。
  3. 誤り。継続して行う広告の内容に変更があったときは、速やかに修正しなければなりません。本肢の場合、8区画が売却済であれば残りの2区画しか売却をすることができない旨の表示に更新する必要があります(表示規約24条1項)。
    事業者は、継続して物件に関する広告その他の表示をする場合において、当該広告その他の表示の内容に変更があったときは、速やかに修正し、又はその表示を取りやめなければならない。
    インターネット上に掲載している賃貸物件について、掲載した後に契約済みとなり実際には取引できなくなっていたとしても、当該物件について消費者からの問合せがなく、故意に掲載を継続していたものでなければ、不当表示に問われることはない。R2⑫-47-3
  4. 誤り。物件の写真を表示する場合は、原則として取引対象となっている物件の写真を用いる必要があります。ただし、建物が完成前等で写真が用意できないときは、同じ業者が過去に施行した建物であり、取引する建物と構造、階数、仕様が同一、かつ、規模、形状、色等が類似する他の建物の外観写真をその旨を明示して表示することができます(表示規約規則9条(22))。他の建物の写真である場合、写真内にその旨の明示をした上で使用しなければならないので本肢は誤りです。
    宅地又は建物の写真又は動画は、取引するものを表示すること。ただし、取引する建物が建築工事の完了前である等その建物の写真又は動画を用いることができない事情がある場合においては、取引する建物を施工する者が過去に施工した建物であり、かつ、次に掲げるものに限り、他の建物の写真又は動画を用いることができる。この場合においては、当該写真又は動画が他の建物である旨及びアに該当する場合は、取引する建物と異なる部位を、写真の場合は写真に接する位置に、動画の場合は画像中に明示すること。
    ア 建物の外観は、取引する建物と構造、階数、仕様が同一であって、規模、形状、色等が類似するもの。ただし、当該写真又は動画を大きく掲載するなど、取引する建物であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。
    イ 建物の内部は、写される部分の規模、仕様、形状等が同一のもの。
したがって正しい記述は[1]です。