宅建試験過去問題 平成12年試験 問21

問21

土地区画整理事業に関する次の記述のうち、土地区画整理法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  1. 個人施行者について、施行者以外の者への相続、合併その他の一般承継があった場合においては、その一般承継者は、施行者となる。
  2. 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業は、市街化調整区域内において施行されることはない。
  3. 市町村が施行する土地区画整理事業については、事業ごとに土地区画整理審議会が置かれる。
  4. 都道府県が施行する土地区画整理事業は、すべて都市計画事業として施行される。

正解 2

問題難易度
肢111.3%
肢256.5%
肢311.8%
肢420.4%

解説

  1. 正しい。個人施行者について、施行者以外の者への相続、合併その他の一般承継があった場合、その一般承継者は施行者となります(土地区画整理法11条1項)。施行者が死亡したら土地区画整理がストップしてしまったら困りますので、相続人等は自動的に施行者となります。
    個人施行者について相続、合併その他の一般承継があつた場合において、その一般承継人が施行者以外の者であるときは、その一般承継人は、施行者となる。
  2. [誤り]。土地区画整理事業は「都市計画区域内の土地で行われる」と定義されているので、市街化調整区域内においても施行されることがあります。ただし、都道府県が行う土地区画整理事業は市街地開発事業として定めることが必要で、市街地開発事業は市街化区域または非線引き区域にしか定められないので、市街化調整区域内で施行することはできません(都市計画法13条1項12号)。本肢は「土地区画整理組合が施行する」ので市街化調整区域内でも問題ありません。
    市街化区域については,都市計画に,少なくとも用途地域を定めるものとされている。R4-15-1
    市街化区域及び区域区分が定められていない都市計画区域については、少なくとも道路、病院及び下水道を定めるものとされている。R2⑫-15-1
    市街化調整区域内においては、都市計画に、市街地開発事業を定めることができないこととされている。R2⑫-15-2
    市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする。H30-16-3
    準都市計画区域においても、用途地域が定められている土地の区域については、市街地開発事業を定めることができる。H26-15-3
    市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとされている。H22-16-1
  3. 正しい。都道府県や市町村が施行する土地区画整理事業については、事業ごとに土地区画整理審議会が置かれます(土地区画整理法56条1項)。土地区画整理審議会とは、施行地区内の宅地の所有権・借地権を持つ委員で構成される組織で、住民の意見を聴くための集まりと考えておけばOKです。
    都道府県又は市町村が第三条第四項の規定により施行する土地区画整理事業ごとに、都道府県又は市町村に、土地区画整理審議会(以下この節において「審議会」という。)を置く。
    市町村が施行する土地区画整理事業では、事業ごとに、市町村に土地区画整理審議会が設置され、換地計画、仮換地の指定及び減価補償金の交付に関する事項について法に定める権限を行使する。R3⑫-20-4
  4. 正しい。都道府県又は市町村は、施行区域の土地についてしか土地区画整理事業を施行することができません(土地区画整理法3条4項)。この「施行区域」というのは、都市計画において土地区画整理事業を行うとして定められた区域のことです。法では「施行区域の土地についての土地区画整理事業は、都市計画事業として施行する」としていますから、都道府県が施行する土地区画整理事業は、すべて都市計画事業として施行されることになります(土地区画整理法3条の4第1項)。
    都道府県又は市町村は、施行区域の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
    施行区域の土地についての土地区画整理事業は、都市計画事業として施行する。
したがって誤っている記述は[2]です。