不当景品類及び不当表示防止法(全26問中22問目)

No.22

宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
平成16年試験 問47
  1. 新聞で建売住宅の販売広告を行ったが、当該広告に関する一般消費者からの問合せが1件もなかった場合には、当該広告は、不当景品類及び不当表示防止法の規制対象となる「表示」には該当しない。
  2. 新聞で中古住宅の販売広告を行う場合、当該住宅から半径1km以内に所在する小・中学校及び市役所については、当該住宅からの道路距離の表示を省略して、「小・中学校、市役所近し」と表示することができる。
  3. 土地の有効な利用が著しく阻害される傾斜地を含む宅地の販売広告を行う場合は、土地面積に占める傾斜地の割合にかかわらず、傾斜地を含む旨及びその面積を明瞭に表示しなければならない。
  4. 新築分譲マンションの完成予想図を販売広告に掲載するに当たり、実際には工場が所在する箇所に公園を記載するなど、周囲の状況について現況に反する表示を行う場合は、「周囲の状況はイメージであって、実際の状況とは異なる」旨を表示しなければならない。

正解 3

問題難易度
肢13.4%
肢29.1%
肢369.8%
肢417.7%

解説

  1. 誤り。景品表示法では、不当な表示をすること自体を禁止しています。たとえ、問合せがなかったとしても、広告をした時点で景品表示法の規制対象となる「表示」に該当します(景品表示法2条4項)。
    この法律で「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。
  2. 誤り。学校、病院、官公署、公園、その他の公共・公益施設(生活関連施設)を広告に表示する場合、物件からの道路距離又は徒歩所要時間を明示しなければなりません(表示規約規則9条(29))。よって、「近し」とだけ表示している本件は不当表示となります。
    前号の公共・公益施設以外の学校、病院、官公署、公園その他の公共・公益施設は、次に掲げるところにより表示すること。

    イ 物件からの道路距離又は徒歩所要時間を明示すること。
    半径300m以内に小学校及び市役所が所在している中古住宅の販売広告においては、当該住宅からの道路距離の表示を省略して、「小学校、市役所近し」と表示すればよい。H28-47-3
  3. [正しい]。傾斜地を含む土地では、マンションと別荘地等を除き、以下のいずれかの該当する場合に、傾斜地を含む旨と傾斜地の割合又は面積を表示しなければなりません(表示規約規則7条(9))。
    • 傾斜部分の割合が全体の30%以上である場合
    • 傾斜地を含むことにより、土地の有効利用が著しく阻害される場合
    2つ目の土地の有効利用が著しく阻害される場合に該当する場合は、傾斜部分の割合にかかわらず表示しなければなりません。
    傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占める場合(マンション及び別荘地等を除く。)は、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を表示すること。ただし、傾斜地の割合が30パーセント以上を占めるか否かにかかわらず、傾斜地を含むことにより、当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く。)は、その旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること。
    傾斜地を含むことにより当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合は、原則として、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を明示しなければならないが、マンションについては、これを明示せずに表示してもよい。H22-47-3
  4. 誤り。物件のコンピュータグラフィックス、見取図、完成図、完成予想図は、その旨を明らかにして用い、当該物件の周囲の状況について表示するときは、現況に反する表示をしてはなりません(表示規約規則9条(23))。実際には工場が所在するにもかかわらず公園と表示することは、たとえその旨を記載したとしても許されません。
    宅地又は建物のコンピュータグラフィックス、見取図、完成図又は完成予想図は、その旨を明示して用い、当該物件の周囲の状況について表示するときは、現況に反する表示をしないこと。
    新築分譲マンションを完成予想図により表示する場合、完成予想図である旨を表示すれば、緑豊かな環境であることを訴求するために周囲に存在しない公園等を表示することができる。R3⑩-47-3
    新築分譲マンションの広告において、当該マンションの完成図を掲載する際に、敷地内にある電柱及び電線を消去する加工を施した場合であっても、当該マンションの外観を消費者に対し明確に示すためであれば、不当表示に問われることはない。H30-47-3
    新築分譲マンションの販売広告で完成予想図により周囲の状況を表示する場合、完成予想図である旨及び周囲の状況はイメージであり実際とは異なる旨を表示すれば、実際に所在しない箇所に商業施設を表示するなど現況と異なる表示をしてもよい。H25-47-1
したがって正しい記述は[3]です。