不当景品類及び不当表示防止法(全27問中27問目)

No.27

不当景品類及び不当表示防止法(以下この問において「景品表示法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成12年試験 問47
  1. 宅地建物取引業者が、不動産の販売広告において販売する物件の最寄駅の表示を行う場合で、新設予定駅の方が現に利用できる最寄駅より近いときは、鉄道会社が駅の新設を公表したものであれば、現に利用できる駅に代えて新設予定駅を表示することができる。
  2. 懸賞によらないで提供する景品類の最高額は、景品表示法に基づき、一般的には、取引価額の1/10の範囲内と定められているが、不動産業においては、取引価額の1/10又は50万円のいずれか低い金額の範囲内と定められている。
  3. 宅地建物取引業者は、宅地の造成工事の完了前において宅地の販売広告を行う場合で、宅地建物取引業法第33条に規定する許可等の処分のほか、地方公共団体の条例に規定する確認等の処分が必要なときは、これを受けた後でなければ広告することはできない。
  4. 宅地建物取引業者が、不動産の販売広告において販売済みの物件を掲載した場合で、そのことにつき故意や過失がないときは、景品表示法上の不当表示になるおそれはない。

正解 3

問題難易度
肢138.9%
肢24.4%
肢351.1%
肢45.6%

解説

  1. 誤り。最寄駅の表示は、現に利用できる駅を表示しなければなりません。新設予定の駅は、鉄道会社が公表したものであれば表示が認められていますが、現に利用できる最寄駅があるのにその表示を省略して、新設駅を表示することはできません(表示規約規則9条(3)ア)。
    鉄道、都市モノレール又は路面電車(以下「鉄道等」という。)の最寄りの駅又は停留場(以下「最寄駅等」という。)の名称及び物件から最寄駅等までの徒歩所要時間を明示して表示すること。
  2. 誤り。宅地建物取引業者が提供する景品類の提供額は、以下のように制限されています(不動産業の景品表示規約3条1項)。
    懸賞による場合(抽選やくじ等の偶然性、じゃんけん等の特定行為の優劣等によって景品類を提供する場合)
    取引価額の20倍以下かつ10万円以下。また、景品類の総額が当該懸賞に係る取引予定総額の2%以内であること
    懸賞によらない場合(全員に提供する場合=総付景品)
    取引価額の10%以下かつ100万円以下
    懸賞によらないで提供する景品類の最高額は、一般的には取引価額の1/10の範囲内と定められています。取引価額が高額になる不動産業においては、上記に加えて100万円以下でなければならないという制限があります。したがって、1/10または100万円のいずれか低い金額の範囲内となります。本肢は「50万円」としているので誤りです。
    新築分譲マンションを販売するに当たり、契約者全員が四つの選択肢の中から景品を選ぶことができる総付景品のキャンペーンを企画している場合、選択肢の一つを現金200万円とし、他の選択肢を海外旅行として実施することができる。H17-47-2
  3. [正しい]。未完成物件の広告は、都市計画法の開発許可や建築基準法の建築確認等の宅建業法33条で定める許可等の処分があった後でなければすることができません(表示規約5条)。宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成前の宅地については、都道府県知事から宅地造成の工事の許可を受けることが必要です。各法の規定に基づき地方公共団体が条例を定めている場合には、その条例による許可や確認を受けた後でなければなりません。
    事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する広告表示をしてはならない。
    新築分譲住宅を販売するに当たり、予告広告である旨及び契約又は予約の申込みには応じられない旨を明瞭に表示すれば、当該物件が建築確認を受けていなくても広告表示をすることができる。R2⑩-47-3
    宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前であっても、宅地建物取引業法第33条に規定する許可等の処分があった後であれば、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する表示をしてもよい。H21-47-4
    未完成建売住宅を販売する場合、建築確認を受けていなくても、現に確認を申請中であれば、「建築条件付き宅地分譲」と表示して広告することができる。H15-47-1
  4. 誤り。契約済物件のように、物件は存在するものの実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示は、おとり広告に該当します。おとり広告をすることは禁止されており、故意や過失がなくとも不当表示に問われることがあります(表示規約21条)。
    事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。
    1 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
    2 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
    3 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示
    実際には取引する意思がない物件であっても実在するものであれば、当該物件を広告に掲載しても不当表示に問われることはない。R5-47-1
    インターネット上に掲載した賃貸物件の広告について、掲載直前に契約済みとなっていたとしても、消費者からの問合せに対して既に契約済みであり取引できない旨を説明すれば、不当表示に問われることはない。R4-47-2
    インターネット上に掲載した賃貸物件の広告について、掲載直前に契約済みとなったとしても、消費者からの問合せに対し既に契約済みであり取引できない旨を説明すれば、その時点で消費者の誤認は払拭されるため、不当表示に問われることはない。H28-47-1
    インターネット広告においては、最初に掲載する時点で空室の物件であれば、その後、成約済みになったとしても、情報を更新することなく空室の物件として掲載し続けてもよい。H20-47-3
したがって正しい記述は[3]です。