35条書面(全64問中9問目)

No.9

宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
令和4年試験 問36
  1. 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは当該建物の検査済証(宅地建物取引業法施行規則第16条の2の3第2号に定めるもの)の保存の状況について説明しなければならず、当該検査済証が存在しない場合はその旨を説明しなければならない。
  2. 宅地の売買の媒介を行う場合、売買代金の額並びにその支払の時期及び方法について説明しなければならない。
  3. 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面にその位置が表示されている場合には、当該図面が存在していることを説明すれば足りる。
  4. 自ら売主となって建物の売買契約を締結する場合、当該建物の引渡しの時期について説明しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢160.5%
肢214.3%
肢313.6%
肢411.6%

解説

  1. [正しい]。既存建物に関する取引であるときには、設計図書、点検記録その他建物の維持保全の状況に関する書類の保存状況が重要事項説明の対象となっています(宅建業法35条1項6号の2)。この書類は具体的には、①建築確認済証、②検査済証、③建設住宅性能評価書、④建築物や設備の定期調査報告書、⑤旧耐震基準の住宅が新耐震基準等に適合していること確認できる書類の5種類です。これらの書類がない場合には、その旨を重要事項説明書に記載して説明しなければなりません(解釈運用-第35条第1項第6号の2関係)。
    当該住宅が増改築等を行っているもので、新築時以外の確認の申請書、確認済証又は検査済証がある場合には、新築時のものに加えてそれらの書類の保存の状況も説明する必要がある。なお、一部の書類がない場合には、その旨を重要事項説明書に記載することとする。
    既存住宅の売買を行う場合、宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査の実施後、1年を経過していないものについては、建物状況調査の実施の有無、実施している場合の結果の概要について説明しなければならない。R6-37-イ
    当該建物が既存の建物であるときは、宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を過去1年(鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等にあっては2年)以内に実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。R4-34-1
  2. 誤り。代金系の記載事項を整理すると下表のようになります。代金関係で重要事項説明の対象となっているのは、代金等以外の金銭に関する金額授受の目的のみです。目的もわからずに代金等以外の金銭が要求されるとトラブルのもとになるので、契約前に買主や借主に対し十分に認識させるという目的があります。なお、代金等の金額・支払時期・支払方法は、いずれも37条書面の記載事項です。
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  3. 誤り。水害ハザードマップに関する説明は、取引の種類を問わず必要です。取引の対象となる物件の位置を含む水害ハザードマップを、洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示し、当該物件の概ねの位置を示すことにより行います。水害ハザードマップの存在だけを説明したり、水害ハザードマップを添付したりするだけでは足りません(解釈運用-規則第16条の4の3第3号の2関係)。
    本説明義務は、売買・交換・貸借の対象である宅地又は建物が水防法(昭和24年法律第193号)に基づき作成された水害(洪水・雨水出水(以下「内水」という。)・高潮)ハザードマップ(以下「水害ハザードマップ」という。)上のどこに所在するかについて消費者に確認せしめるものであり、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを、洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示し、当該宅地又は建物の概ねの位置を示すことにより行うこととする。
  4. 誤り。物件の引渡しの時期は、37条書面の記載事項ではありますが、重要事項説明の内容とはなっていません。引渡し時期や支払時期などの「時期」は契約者によって異なるので、重説の対象外となっています。
したがって正しい記述は[1]です。