8種制限(全76問中30問目)

No.30

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として買主との間で建築工事完了前の建物を5,000万円で売買する契約をした場合において、宅地建物取引業法第41条第1項に規定する手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)に関する次の記述のうち、同法に違反するものはどれか。
平成26年試験 問33
  1. Aは、宅地建物取引業者であるBと契約を締結し、保全措置を講じずに、Bから手付金として1,000万円を受領した。
  2. Aは、宅地建物取引業者でないCと契約を締結し、保全措置を講じた上でCから1,000万円の手付金を受領した。
  3. Aは、宅地建物取引業者でないDと契約を締結し、保全措置を講じることなくDから手付金100万円を受領した後、500万円の保全措置を講じた上で中間金500万円を受領した。
  4. Aは、宅地建物取引業者でないEと契約を締結し、Eから手付金100万円と中間金500万円を受領したが、既に当該建物についてAからEへの所有権移転の登記を完了していたため、保全措置を講じなかった。

正解 3

問題難易度
肢110.2%
肢210.8%
肢364.9%
肢414.1%

解説

  1. 違反しない。保全措置は、買主が宅地建物取引業者の場合には不要です。よって、宅地建物取引業法には違反しません。
  2. 違反しない。未完成物件においては、受け取る手付金等の合計が「代金の5%以下かつ1000万円以下」であれば保全措置は不要です。
    本肢で受けとる1,000万円は代金の20%に相当します。保全措置の必要な額となりますが、Aは保全措置を講じているので問題ありません。また宅地建物取引業者が受け取れる手付金の上限である2割にも収まっているので問題ありません。
  3. [違反する]。未完成物件においては、受け取る手付金等の合計が「代金の5%以下かつ1000万円以下」であれば保全措置は不要です。本問では売買代金が5,000万円であるため250万円を超えて受領するときには保全措置が必要となります。
    また、中間金を受領したことによって基準額を超えるときは、以前に受領した手付金も含めた全額について保全措置を講じなければなりません。本肢では、中間金の受領前に、手付金の額も合わせた「100万円+500万円=600万円」について保全措置を講じる必要があります。よって、本肢は宅地建物取引業法に違反します。
  4. 違反しない。保全措置は、買主に所有権が移転するまでの期間中に行う措置です。よって、買主への所有権移転の登記がされた後、買主が所有権の登記をした後であれば保全措置を講じずに手付金等を受け取ることができます。
したがって正しい記述は[3]です。