不動産鑑定評価基準(全12問中9問目)

No.9

不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
平成19年試験 問29
  1. 不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別され、原価法による試算価格を積算価格、取引事例比較法による試算価格を比準価格、収益還元法による試算価格を収益価格という。
  2. 取引事例比較法の適用に当たって必要な取引事例は、取引事例比較法に即応し、適切にして合理的な計画に基づき、豊富に秩序正しく収集し、選択すべきであり、投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものであってはならない。
  3. 再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいう。
  4. 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であり、このうち、一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法をDCF(Discounted Cash Flow)法という。

正解 4

問題難易度
肢17.5%
肢227.7%
肢313.6%
肢451.2%

解説

  1. 正しい。不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別されます。原価法による試算価格を積算価格、取引事例比較法による試算価格を比準価格、収益還元法による試算価格を収益価格といいます(不動産鑑定評価基準7章1節)。
  2. 正しい。取引事例比較法の適用に当たって必要な取引事例は、取引事例比較法に即応し、適切にして合理的な計画に基づき、豊富に秩序正しく収集し、選択すべきであり、投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものであってはなりません(不動産鑑定評価基準7章1節)。
  3. 正しい。再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいいます(不動産鑑定評価基準7章1節Ⅱ)。この再調達原価に減価修正を行って対象不動産の価格を求めるのが原価法です。
  4. [誤り]。収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより、対象不動産の試算価格を求める手法で、直接還元法とDCF法の2つがあります(不動産鑑定評価基準7章1節)。
    直接還元法
    一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法
    DCF法
    連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法
    「一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法」は直接還元法です。よって、DCF法であると説明している本肢は誤りです。
したがって誤っている記述は[4]です。