不動産鑑定評価基準(全12問中8問目)

No.8

不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、正しいものはどれか。
平成20年試験 問29
  1. 不動産の価格を求める鑑定評価の手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別され、鑑定評価に当たっては、原則として三方式を併用すべきこととされている。
  2. 土地についての原価法の適用において、宅地造成直後と価格時点とを比べ、公共施設等の整備等による環境の変化が価格水準に影響を与えていると認められる場合には、地域要因の変化の程度に応じた増加額を熟成度として加算できる。
  3. 特殊価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。
  4. 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であることから、賃貸用不動産の価格を求める場合に有効であり、自用の住宅地には適用すべきでない。

正解 2

問題難易度
肢133.8%
肢253.0%
肢38.8%
肢44.4%

解説

  1. 誤り。不動産の鑑定評価の手法には、原価法、取引事例比較法、収益還元法の3つがあります。不動産鑑定評価基準では、対象不動産の市場の特性等を適切に反映した複数の手法を併用して適用すべきであるとしています(不動産鑑定評価基準8章7節)。
    ※平成26年(2014年)の不動産鑑定評価基準改正により、「三方式を併用」から「案件に応じて複数の手法の適用」に変更されています。
  2. [正しい]。土地について原価法を適用する場合に、宅地造成直後と価格時点とを比べ、公共施設等の整備等による環境の変化が価格水準に影響を与えていると認められる場合には、地域要因の変化の程度に応じた増加額を熟成度として再調達原価に加算することができます(不動産鑑定評価基準7章1節)。
  3. 誤り。本肢は「特定価格」の説明なので誤りです。
    特殊価格とは、文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格のことを指します(不動産鑑定評価基準5章3節)。
  4. 誤り。収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法で、直接還元法とDCF法の2つがあります。収益還元法は、賃貸物件の価格を求める際に特に有効ですが、自用の不動産の場合であっても、賃貸を想定することにより適用できるとしています(不動産鑑定評価基準7章1節)。
したがって正しい記述は[2]です。