不動産鑑定評価基準(全12問中6問目)

No.6

不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
平成24年試験 問25
  1. 不動産の価格を形成する要因とは、不動産の効用及び相対的()少性並びに不動産に対する有効需要の三者に対する影響を与える要因をいう。不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格を形成する要因を明確に把握し、かつ、その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を十分に分析すること等が必要である。
  2. 不動産の鑑定評価における各手法の適用に当たって必要とされる事例は、鑑定評価の各手法に即応し、適切にして合理的な計画に基づき、豊富に秩序正しく収集、選択されるべきであり、例えば、投機的取引と認められる事例は用いることができない。
  3. 取引事例比較法においては、時点修正が可能である等の要件をすべて満たした取引事例について、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとするが、必要やむを得ない場合においては、近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るもののうちから選択することができる。
  4. 原価法における減価修正の方法としては、耐用年数に基づく方法と、観察減価法の二つの方法があるが、これらを併用することはできない。

正解 4

問題難易度
肢16.6%
肢215.0%
肢38.8%
肢469.6%

解説

  1. 正しい。不動産の価格を形成する要因とは、不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいいます。不動産の価格は、これらの要因により決定されますが、これらの要因も常に変動します。そのため、不動産の鑑定評価を行う際には、価格形成要因を市場参加者の観点から明確に把握し、かつ、その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を十分に分析し、前記三者に及ぼすその影響を判定することが必要です(不動産鑑定評価基準3章)。
  2. 正しい。取引事例等は、鑑定評価の各手法に即応し、適切にして合理的な計画に基づき、豊富に秩序正しく収集し、選択すべきであり、投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものであってはなりません(不動産鑑定評価基準7章1節)。
  3. 正しい。取引事例比較法においては、時点修正や事情補正が可能である等の要件をすべて満たした取引事例について、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産を選択するのが原則です。ただし、必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域に存する不動産から選択することができます(不動産鑑定評価基準7章1節)。
  4. [誤り]。原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法です。
    原価法において再調達価格から控除する減価額を求める方法には、①耐用年数に基づく方法と②観察減価法の二つがあり、これら必ず併用しなければいけません(不動産鑑定評価基準7章1節)。
したがって誤っている記述は[4]です。