不動産鑑定評価基準(全12問中5問目)

No.5

不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、正しいものはどれか。
平成28年試験 問25
  1. 不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格であるが、市場性を有しない不動産については、鑑定評価の依頼目的及び条件に応じて限定価格、特定価格又は特殊価格を求める場合がある。
  2. 同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいうが、不動産の種類、性格及び規模に応じた需要者の選好性によって、その地域的範囲は狭められる場合もあれば、広域的に形成される場合もある。
  3. 鑑定評価の各手法の適用に当たって必要とされる取引事例等については、取引等の事情が正常なものと認められるものから選択すべきであり、売り急ぎ、買い進み等の特殊な事情が存在する事例を用いてはならない。
  4. 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であるが、市場における土地の取引価格の上昇が著しいときは、その価格と収益価格との乖離が増大するものであるため、この手法の適用は避けるべきである。

正解 2

問題難易度
肢113.0%
肢257.1%
肢319.9%
肢410.0%

解説

  1. 誤り。不動産の鑑定評価で求める価格は4つあり、正常価格・限定価格・特定価格は市場性を有する不動産についての価格、特殊価格のみが市場性を有しない不動産についての価格となっています。よって、市場性を有しない不動産について限定価格と特定価格を求めることはありません(不動産鑑定評価基準5章3節)。
  2. [正しい]。同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいいます。また、不動産の種類、性格及び規模に応じた需要者の選好性によって、その地域的範囲は狭められる場合もあれば、広域的に形成される場合もあります(不動産鑑定評価基準6章1節)。
  3. 誤り。取引事例比較法で用いる取引事例等については、売り急ぎ、買い進み等の特殊な事情が存在する場合でも、事情補正により正常なものに補正することができる場合には取引事例等として選択することができます(不動産鑑定評価基準7章1節)。
  4. 誤り。収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法で、直接還元法とDCF法の2つがあります。市場における不動産の取引価格の上昇が著しいときは、取引価格と収益価格との乖離が増大するので、適正な価格を評価するために収益還元法の適用が有効です(不動産鑑定評価基準7章1節)。
したがって正しい記述は[2]です。