固定資産税(全12問中9問目)

No.9

固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成20年試験 問28
  1. 固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災等によって不明である場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができる。
  2. 市町村長は、一筆ごとの土地に対して課する固定資産税の課税標準となるべき額が、財政上その他特別の必要があるとして市町村の条例で定める場合を除き、30万円に満たない場合には、固定資産税を課することができない。
  3. 固定資産税の課税標準は、原則として固定資産の価格であるが、この価格とは「適正な時価」をいうものとされており、固定資産の価格の具体的な求め方については、都道府県知事が告示した固定資産評価基準に定められている。
  4. 市町村長は、毎年3月31日までに固定資産課税台帳を作成し、毎年4月1日から4月20日又は当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間、納税義務者の縦覧に供しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢162.8%
肢215.8%
肢310.2%
肢411.2%

解説

  1. [正しい]。固定資産税の納税義務者は、原則としてその年の1月1日に固定資産課税台帳に所有者として登録されている者です。しかし、震災、風水害、火災等によって所有者が不明の場合は、固定資産の使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することが可能です(地方税法343条4項)。
  2. 誤り。固定資産是の免税点に該当するかどうかは、「一筆ごとの土地(登記上の土地の単位)」ではなく「同一市町村内に所有する土地」を基準として判定します(地方税法351条)。
    例えば、A市内に25万円の土地と20万円の土地2つを所有している場合、土地ごとでは免税点である30万円未満ですが、合計は45万円なので免税点には該当しないということになります。このように一筆ごとの土地ではなく、同一市町村内に所有する土地の課税標準額の合計によります。
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    市町村は、財政上その他特別の必要がある場合を除き、当該市町村の区域内において同一の者が所有する土地に係る固定資産税の課税標準額が30万円未満の場合には課税できない。H27-24-4
  3. 誤り。固定資産評価基準とは、固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を定めたものです。都道府県知事ではなく総務大臣が定めて告示します(地方税法348条1項)。なお、前半部分の固定資産の価格とは「適正な時価」という部分は適切です(地方税法341条5号)。
  4. 誤り。固定資産課税台帳に登録された自分の土地・家屋の登録価格について閲覧することはいつでもできますが、固定資産課税台帳が縦覧されることはありません。縦覧とは、全員の土地・家屋の価格が公開され、納税者が自分の土地・家屋の価格と比較することで、登録された価格が適切かつ公平であることを確認するための制度です。縦覧されるのは、土地価格縦覧帳簿及び家屋価格等縦覧帳簿で、本肢の説明のように、毎年4月1日から4月20日又は当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までが縦覧期間となっています(地方税法416条1項)。
    土地価格等縦覧帳簿及び家屋価格等縦覧帳簿の縦覧期間は、毎年4月1日から、4月20日又は当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間である。R4-24-2
    家屋に対して課する固定資産税の納税者が、その納付すべき当該年度の固定資産税に係る家屋について家屋課税台帳等に登録された価格と当該家屋が所在する市町村内の他の家屋の価格とを比較することができるよう、当該納税者は、家屋価格等縦覧帳簿をいつでも縦覧することができる。H29-24-2
したがって正しい記述は[1]です。