農地法(全27問中1問目)

No.1

農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。
令和6年試験 問21
  1. 法第3条第1項の許可があったときは所有権が移転する旨の停止条件付売買契約を原因とする所有権移転の仮登記の申請を行う場合にも、農業委員会の許可が必要である。
  2. 法第5条第1項の許可申請書の提出において、法ではその申請に係る権利の設定又は移転に関し民事調停法により調停が成立した場合など一定の場合を除き、当事者は連署した申請書を提出しなければならないとされている。
  3. 法では、農地の賃貸借で期間の定めがあるものについては、一定の場合を除き、期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知をしないと従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借したものとみなされる。
  4. 法では、農地の賃貸借の当事者は、当該賃貸借の合意による解約が民事調停法による農事調停によって行われる場合など一定の場合を除き、知事の許可を受けなければ、当該賃貸借について、解除、解約の申入れ、合意解約、更新拒絶の通知をしてはならないとされている。

正解 1

問題難易度
肢144.5%
肢29.0%
肢321.6%
肢424.9%

解説

  1. [誤り]。農地法の許可を停止条件(法定条件)とする売買契約に基づく仮登記も申請することができ、この際、農業委員会の許可や届出は不要です(昭32.4.22民甲793号)。許可を受けたが登記原因証明情報として用いる許可証がまだ手元にない場合や、売買契約後に許可申請を行ったが許可を待っている場合に仮登記が行われます。
  2. 正しい。農地法の3条・4条・5条の許可申請は、一定の場合を除き、当事者が連署した届出書を提出することにより行います(農地法規則50条1項)。連署を要しないのは、競売、公売、遺贈等の単独行為、裁判の確定判決、調停の成立、審判の確定による場合です。
    令第十条第一項の規定により届出書を提出する場合には、当事者が連署するものとする。ただし、第十条第一項各号に掲げる場合は、この限りでない。
  3. 正しい。農地の賃貸借は、当事者が期間の満了から1年前から6か月前までの間に、相手方に更新拒絶の通知をしなければ、従前と同一の条件で更新したとみなされます(農地法17条)。ただし、期間については従前の条件に含まれないので、期間の定めのないものとなります(最判昭35.7.8)。
    農地又は採草放牧地の賃貸借について期間の定めがある場合において、その当事者が、その期間の満了の一年前から六月前まで(賃貸人又はその世帯員等の死亡又は第二条第二項に掲げる事由によりその土地について耕作、採草又は家畜の放牧をすることができないため、一時賃貸をしたことが明らかな場合は、その期間の満了の六月前から一月前まで)の間に、相手方に対して更新をしない旨の通知をしないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものとみなす。(後略)
    農地の賃貸借が農地法第一九条により更新されたときは、以後期間の定めのない賃貸借として存続するものと解すべきである。
  4. 正しい。農地・採草放牧地の賃貸借は、一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければ、解除・解約申入れ・合意解除・更新拒絶の通知をすることができません(農地法18条1項)。許可を要しないのは、期間10年以上の賃貸借や農事調停による合意解除などの場合です。
    農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、政令で定めるところにより都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
    農地の賃貸借の解除については、農地の所有者が、賃借人に対して一方的に解約の申入れを行う場合には、法第18条第1項の許可を受ける必要がない。R3⑫-21-2
したがって誤っている記述は[1]です。